詰めフット

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よっしゃー・すっげー・えっっぐを卒業するためのNFL観戦法

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攻めやすいようにdefenseに守らせる!? Dolphinsに倣う favorable match-upの作り方

 

football観戦初心者のうちは、big playやtouchdownを見ても

・QBの球が正確だった

・WRのキャッチがうまかった

・RBの足が速かった

など、field playerの身体能力に感動することしかできない。

 

少し慣れてきて、play callと言われる戦術が、offense, defenseそれぞれのcoordinatorによって悩み抜かれた上で選択されている事実を知ったとしても、結局はplayが始まるまでcallの優劣がわからないジャンケンのようなものであると思っている人がほとんどだろう。

 

そこで今回は、

offense側が攻めやすいようにdefenseのシステムを思いのままに操り、好ましいmatch-upを作り出す

というある種のメンタリズム的なfootballの一面を紹介する。

(本記事はTed Nguyenさんの記事に、私なりの解釈を加えたものである。)

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

 

Week 2 2022, Miami at Baltimore, 11:27 remaining in the 2nd quarter, 2nd-&-5

Dolphinsはempty formation (0 running back, 5 receivers)を敷いている。

 

RBのMostert(No.31)を右の#1としてsetさせている形であるが、

これに対しRavensは、CBではなくLBのQueen(No.6)がやってきて彼をcoverしようとする。

このことは、Ravens defenseがman based で守ろうとしていることを示唆しており、

 

上図のようなtrix man coverageを敷いていると考えられる。

 

※trixとは、back-side safetyが#3 receiverのcrossing routeをcoverすること。

 

※ #3にsetしたTyreek Hillに対してdouble coverを選択すること、その際back-side safetyがHillの得意とするcrossing routeをcoverすること、は以前の記事を参照されたい。

manimani-football.hatenablog.com

 

 

ここで、Hill (No.10)がmotionし、RBのようにsetする。

RBもeligible receiverであるから、Hillはoffensive-left-sideの#3 receiverとみなすことができる。

 

このmotionに対し、Ravensは上図のようにadjustした。

ここで注目されたいのは、safetyのWilliams (No.32)がbox内に降りてきた点、いや、降りざるをえないように仕組まれた点である。

 

・underneathのdefenderは、目の前のreceiverに対し基本的にpure man-to-manであるため、Hillをsafety以外のdefenderに受け渡すことは難しい

・そのため、motion前に彼をdouble coverする役割を持っていたWilliamsが見ざるを得ない

・HillはRBの位置にsetしているが、彼のinsideのrun playはそれほど脅威ではなく、その代わりタイミングの早いflatに出られると厄介であるため、彼との距離を詰める

 

 

Raves defenseのadjustをこのように誘導した理由は、

safetyのWilliamsは、inside linebackerのようにplayすることに慣れていない

ことがヒントである。

このことに注意しながら、続きを読み進められたい。

 

Ravens defenseは、motionへのadjustに少し困惑が見られたものの、上図のようなCover-1を敷くに落ち着いた。

 

ここで、Dolphinsのplay callはtunnel screenであり上図のようなassignmentである。

 

このように見てみると、tunnel screenを止めるためには、Williamsのplayingが鍵となるであろう。

 

そこで、以降、WIlliamsの動きに注目されたい。

 

Hillのrun fakeに大きく反応し、内側に寄ってしまっている。

 

perimeter screenに気づいて寄せるも、OLの2人に追い越されてしまう。

 

完全にblockされてしまっている。

 

そう、tunnel screenを成功させるにあたり、守備のキーマンとなるsecond-level defenderを不慣れな選手に"意図的に"守らせたのである。

 

最後にまとめると、

・RBを#1 receiverとしてsetさせることで相手のcovergeを予測する

・あらかじめHillをRBの位置にsetさせるのではなく、emptyからmotionさせることで、curl zoneに意図的にsafetyを持ってこさせる

・perimeterのscreenに対して、second levelからの対処に慣れていないsafetyを嫌らしく攻める

 

#1にsetしたRB MostertにLBがついて行った時点で、盤面はすでに詰んでいたということだ。

 

 

 

参考

theathletic.com