詰めフット

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よっしゃー・すっげー・えっっぐを卒業するためのNFL観戦法

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Super Bowl観戦の注目ポイント② - 4x1という超偏重的formationから繰りなす芸術 -

前回の続きです。未読の方はぜひ①から読まれたい。

manimani-football.hatenablog.com

 

要約

4x1のsingle-sideの攻略

① 4人sideに寄らせ、しかも寄ったdefendersのほとんどを無力化

② 4人sideに寄らせてsingle-sideをガラ空きにさせる

③ 13 personnelと4x1を組み合わせるとさらにsingle-sideが脆弱に

 

4x1の4 receivers-sideの攻略

④ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-1-

⑤ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-2-

 

4x1のsingle-sideの攻略

① 4人sideに寄らせ、しかも寄ったdefendersのほとんどを無力化させる

2022, Week 10, Jacksonbille at Kansas City, 5:42 ramaining in the 1st quarter, 1st-&-10

Chiefsは13 personnel、4x1 formationを敷いている。

 

※4x1とは...

本記事では、片方のsideにeligible receivers(RBを含む)が4人いる、もしくはsnap後4人のeligible receiversがrouteに出るformationのことを4x1と呼ぶことにする。

※13 personnelとは...

1 RB, 3 TEsのformation。

 

downfieldを見ると、4x1 formationへの対策として、defendersがかなり4 receivers-sideに寄ったalignmentをしていることがわかる。

 

いま、JaguarsはCover-4を敷いている。

4x1 formationに対して、2-high shellのcoverageを敷くことは、近年のfootballにおいては主流である。

 

※Cover-4とは...

deepを4人のdefendersで守るcoverage conceptの総称。

 

4x1に対しては、single-sideは実質man-to-manすることになる。

 

いま、Chiefsは、上図のようなbackside-flood conceptをcallしている。

primary targetは、Kelceのdeep crossである。

 

MVSは、Campbellのinsideからreleaseし、CampbellだけでなくsafetyのCiscoも引きつける。

 

Pachecoがswing routeに出ることにより、flat zoneを守るLB- Keyは引き寄せられる。

 

皮肉なことに、TEのGrayとFortsonは2人ともrouteに出ず、pass protectionに参加したため、4 receivers-sideに寄ってalignmentした4 defendersがcoverに関して無力化されてしまっているのである。

 

Kelceのdeep crossは当然のようにガッツリopenになった。

 

 

② 4人sideに寄らせてsingle-sideをガラ空きにさせる

2022, Week 11, Kansas City at Los Angels, 14:28 ramaining in the 1st quarter, 2nd-&-7

Chiefsは4x1 formationを敷いている。

 

対するChargersはCover-2を敷いている。

 

これに対し、Chargersは、先述したとおり4 receivers-sideに偏ったalignmentを強いられる。

 

いま、Chiefsのcallは上図のようであり、single-sideのFortsonのslant routeにquick passを投げるconceptである。

 

ここでfrontを見てみると、Chargersは、under-frontを敷いている。

 

under-frontにおいて各DL, LBの担当gapは上図のとおりであるが、

これによりLB- Murrayは、より4 receivers-sideに寄ったalignをすることが可能になる。

裏を返せば、これらのalignmentにより、offenseから見てMurrayの左側にはより大きなspaceができたことになる。

 

ちなみに、一般的な4-men frontであるover-frontを採用すると、上図のようなgapの割り振りとなるが、この場合、Murrayのalign位置は4 receivers-sideから少し遠ざかってしまう。

 

4x1 formationを敷くことによって、Chargers defenseに偏ったalignmentを強い、さらに、Chargersがunder-frontを採用したことによりFortsonのslant routeが大きく空き、QB- Mahomesはsnap後すかさず投げた。

 

③ 13 personnelと4x1を組み合わせるとさらにsingle-sideが脆弱に

2022, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 7:59 ramaining in the 2nd quarter, 2nd-&-5

Chiefsは13 personnelの3x1 formationを敷いている。

上図の隊形はbunch formationと捉えるのが一般的であろうが、bunchを構成する3 receiversが皆TEであるため、13 personnelと解釈することとする。

 

それに対し、Bengals defenseは5-men frontを敷いてきた。

5 OLs + 3 TEsの計8人のblockerがbox内に居り、彼ら同士の間に存在する9つのgapsを埋めるために5-men frontを採用するのは一般的である。

(実際、AFC ChampionshipでBengalsはほとんど5-men frontを採用していた。)

 

ここで、chiefsはPachecoをtear motionに出した。

これにより、offensive-right-sideは4 eligible receiversがいることになり、4x1 formationとみなしても良いだろう。

これを受けて、Bengals defenseは、より4 receivers-sideに寄ったため、上図のようにかなり偏ったalignmentになっている。

 

いま、Bengalsは上図のようなCover-3を敷いている。

(5-men frontを敷いたとき、underneathのdefenders枚数を増やすため、single-highのcoverageがセットでcallされることが多い)

 

※Cover-3とは...

deepを3人のdefendersで守るcoverage conceptの総称。

 

Bengalsが5-men frontを敷いていることにより、

・OssaiはLOS(Line-Of-Scrimmage)上からdropしてflat zoneをcoverしなくてはならない

・4x1 formationのsingle-sideのCB- Appleは、目の前のWR- JuJuを実質man-to-manすることになるが、2nd-&-5という、long passもあり得るsituationにおいてshort-breaking-routeに食い付くことはできない

であり、上図のようにsingle-sideのflat zoneがかなりの弱点となっている。

 

そのため、Mahomesはsnap後すかさずJuJuのslant routeに投げた。

 

4x1の4 receivers-sideの攻略

④ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-1-

2022, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 2:17 ramaining in the 1st quarter, 2nd-&-11

Cheifsは、12 personnel、3x1 formationを敷いている。

 

Chiefsのconceptは上図のようであり、snap後RBがflat routeに出るため、実質4x1であるとみなして良い。

 

いま、BengalsはCover-8を敷いている。

 

※Cover-8とは...

pass-strong side(3 receivers-side)にCover-2

pass-weak side(single-receiver-side)にCover-4

を敷くcoverage。

2-high shellを維持したまま、Cover-3のようにdeepを守ことができるため、modern footballにおいて対3x1 formationとして使われることが多い。

 

Kelceの出だしがverticalにも見えるため、high holeを守るLB- Wilsonが奥に釣られる。

 

Fortsonのshort hookに対して、LB- Prattが内側に釣られる。

 

RB- McKinnonのflatに対して、CB- Hiltonが外側に釣られる。

 

これらをまとめると、Kelceのout routeの周囲のdefendersが、彼から遠ざかるようにように釣られているため、

 

ガッツリopenになった。

 

⑤ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-2-

2022, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 1:27 ramaining in the 1st quarter, 1st-&-10

Chiefsは3x2 formationである。

(RBがoffsetしており、彼のrun playはないと考えられるため、empty formationモドキとみなして良いだろう。)

 

ここで、Hardmanをmotionさせる。

 

これにより、offensive-right-sideに4 receiversがrouteに出るため、4x1 formationとみなせる。

 

ここで、BengalsはCover-8 Trixを敷いている。

(3x1や4x1に対して、Cover-8が好まれることは先述したとおりである。)

 

※Trixとは...

back-side safetyのHiltonが#3 receiverであるMcKinnonのverticalをcoverするcoverageのこと。

 

いま、Chiefsのcallは上図のようなconceptである。

 

立ち位置的に#3 receiverであるMcKinnonの出だしがflatに向かうように見えることから、TrixをplayするHiltonは彼のverticalは憂慮すべきでないと判断した。

そして、Kempに視線を移し、彼のverticalをhelpすることにした。

 

motionの勢いのままやってきたHardmanのswing routeに、DE- Ossaiは外側に釣られた。

 

そのため、McKinnonのcurl routeの周囲のdefendersは彼から遠ざかるように釣られ、ガッツリopenになった。