パスプロのフリしたらBlitzに入ってくれますよ！ BradyとGronkによる阿吽の呼吸

Patriotsの時からずっとコンビを組み続けてきたBradyとGronkowski。

Buccaneersに渡ってからも未だ健在の息ぴったしな連携を紹介する。

まずは映像から

The 100th TD connection between @TomBrady & @RobGronkowski! 💯

📺: #DALvsTB on NBC
📱: https://t.co/0VSAGKOx0q pic.twitter.com/pyZ7HhTk1P

— NFL (@NFL) 2021年9月10日

2021 Week 1, Tampa Bay vs Dallas, 6:28 remaining in the 3rd quarter, 3rd-&-6

Buccaneersは、11personnel(=1RB, 1TE), 3x1 formationを敷いている。

(画面右が見切れているが、2 receiverが setしている)

対してCowboysは、●のsafetyのlined up位置から判断するにsingle-high lookである。

ここでQB BradyはFournette(●)をmotionさせる。

このmotionに対して、Cowboysはsafety(●)を落ちてこさせてadjustした。

pre-snap時点のこの景色を見て、CowboysがCover-0を敷いているとBradyは感じた。

backer(●)の位置的に可能性は低いが、上図のようなCover-1も一応考えられる。

Bradyがsnap後に、この可能性を排除していることは後述する。

ここで、Bradyは "Gronk, Gronk" とTE Gronkowski(●)を振り向かせ、check callをした。

TEやRBがpass blockをした場合、Cowboysが彼をman-to-manするdefenderをblitzに投入する傾向にあることを知っていたBradyは、

数歩pass protectionに参加してから遅れてrouteに出るよう、Gronkowskiに暗に伝えたのである。

実際、

pre-snap時点でGronkowski(●)をman-to-manするWison(●)であるが、

Gronkowskiがpass protectionをしているのを見るや否や、blitzに入ってきた。

また、Bradyの視線に注目してみると、snapを受けてから視線を右に向け、想定通りのWilson(●)のBlitzを確認しているのがわかる。

ここでBradyは視線を左に移し、

Neal(●)の動きを確認。

彼もまたblitzに入ってきていることより、

前掲したような0-blitz、つまりCover-0であると確信。

Cover-0であるということはつまり、deepをzone coverするdefenderがいないということであり、

eliglible receiverはdefenderとのone-on-oneを制すればopenになる。

Bradyが視線を右に戻すのを見計ったかのように、Gronkowski(●)はblockingを止めてrouteに飛び出す。

Wilson(●)はBradyまで後一歩のところまで迫ったが、それによりGronkowski(●)をman-to-manするdefenderがいなくなった。

(後一歩のところまで迫ったというよりも、Bradyにギリギリまでおびき寄せられた、といったほうが適切か)

DEが慌てて彼についていこうとするが、Gronkowskiとの間にはもとよりスピードのmismatchがあり、加えてrush途中で体勢が崩れていたため、追いつくことができず、Touchdownとなった。

RBをmotionさせ、相手のcoverage候補を絞り、

臨機応変な対処を相棒に伝え、

snap後相手の動きをしっかりと確認し

ギリギリまで引きつけた後、

それを見計ったように相棒も飛び出し、

そこにお膳立てのpass

footballの奥深さを再認識させてくれる、そんなワンシーンを紹介した。

↓参考

Might have a pressure or c0 check by TB. Knew the Cowboys would add on blitz if they saw TE or RB pass block.

Gronk fakes like he was going to block and took off. https://t.co/hNPPWjRa4l

— Ted Nguyen (@FB_FilmAnalysis) 2021年9月10日

【華麗】想定されるcoverageに対して最も効果的なcallと適切なread

2021 seasonの開幕戦、Dallas Cowboys vs Tampa Bay Buccaneers。

第3 quarterも終わりにさしかかり、9点差を追いかけるCowboysにとってはなんとしても勝利への希望を繋ぎ留めたい、そんな3rd-&-4 situationにおいて見られた、華麗なplayをご紹介する。

まずは映像から。

pic.twitter.com/ceckWjDvXV

— まにまに (@dal_kc_manimani) 2021年9月13日

2021 Week 1, Dallas at Tampa Bay, 0:40 remaining in the 3rd quarter, 3rd-&-4

Cowboys(青)はbunch formation(=3 receiversを固めてset)を敷いている。

一方、Buccaneersはsingle-high lookであり、

そのfrontは、odd frontである。

(3rd down situationにおいてBuccaneers defenseがodd frontを多用することは以前の記事を参照されたい)

ここで、QB Prescottは、1番のWilsonをmotionさせる。

Wilson(●)のmotionに対し、Cockrell(●)がついていく。

Wilson(●)はfalse motionをし、QBの前を横切らずに元いた位置に戻る。

このfalse motionにCockwell(●)がついてきたことより、secondary defenderはman coverageを敷いていると考えられる。

single-high lookであることと合わせると、man-free coverageであるだろう。

※man-free coverage...deepを1 safetyがzone cover、その他はman-to-man

ここで、Cowboysのplayは、Flat-7 conceptである。

Flat-7... 7とは、corner routeのことであるから、つまりflatとcorner routeを組み合わせたconcept

以降、receiversとsecondary defendersに着目されたい。

Buccaneersがpure man coverを敷いていた場合、上図のような対応になるが、

3rd-&-4というsituationでは、downを更新するに足るspaceがFのflatに関してopenになるだろう。

一方、Buccaneersが "Banjo"を敷いていた場合、上図の様な対応になる。

※Banjo...stackやbunchに対してよく用いられるcornerbackとlinebackerのswitch technique。なお、Bunchに対しては、#2 receiverとstarはone-on-oneであることが多い。

以降、QB Prescottの視線に注目されたい。

snap直後。

ここまでPrescottの視線はcornerbackに向けられている。

cornerbackの動きから、上図のようなbanjo coverageであると読んだPrescottは、

視線を#1のcorner routeに移し、

投げた。

また、

#3のmotion前

#3のmotion後

を見比べると、$(●)の位置がより内側になっていることがわかる。

これにより、#1(●)は$(●)に対して優れたleverageにあり、より彼のcorner routeを守りにくくした。

さらに、

weakside receiverがcurlを走ることにより、single-high safetyはうかつに#1のcornerによることができなくなっている。

motionによって

defenderを混乱させる

man coverageであると見抜く

より良いleverageを得る

そして、

bunch formationを用いて、pure manかbanjoの二択に絞り、

3rd-&-4というsituationをうまく利用し、

flat-7 combinationによって適切にreadする

single-high safetyもweakside receiverで引きつける

Cowboys shoot Wilson out into the flat to waste Dean on him and, more importantly, force Cockrell to try and cover the deep out from Cooper with bad leverage. pic.twitter.com/t7ZiN7PiyE

— Bill Barnwell (@billbarnwell) 2021年9月10日

以上、CowboysのOC Kellen Moore、そしてQB Prescottによる素晴らしいplayを紹介した。

↓参照

Cowboys dialed up a Flat/Seven combo from bunch vs the Bucs man free coverage adjustment for bunch "Point Combo". Press the point man and Banjo the two off guys. Flat/Seven inherently creates leverage for Cooper outside after the banjo. Good playcall vs the anticipated coverage. pic.twitter.com/QQaEevP5FE

— XandOJunkie (@Spread_it_Out) 2021年9月10日

Sabanが生んだCover-7⑧ (weakside) "Cone"

Cover-7特集の第八回は、"Cone"を紹介する。

Coneは最もよく使われるweakside callである。

weaksideの#1 receiverをinside leverageからFSが、outside leverageからcornerがcoverする。

#1が内側からrelease → FSが彼についていき、cornerはzone offする。

#1が外側からrelease → cornerがついていき、FSはpoachもしくはstrongsideのhelp

Vikings(紫)はweaksideにConeを敷き、#1(Devante Adams)をFSとcornerの2人でbracket coverしている。

#1がcross routeを走ったため、FSが彼についていき、cornerはzone offし、strongsideのhelpに回る。

zone offしたcornerはstrongsideからやってきたtight endのverticalを、

$はrunning backをcoverできている。

FSはinside leverageから#1についていったことで、interceptすることができた。

この例は、man-match techniquesがいかに、効率的かつ堅固なsystemであるかをよく体現している。

Sabanが生んだCover-7⑦ (weakside) "Connie"

Cover-7特集の第七回以降は、Cover-7のweakside callを紹介する。

weakside calls

Cover-7はsplit-field coverageであり、strong sideとweak sideそれぞれに対して別々のcallがなされる。

offenseはweak sideにbest receiverを置くなどして攻略しようと試みるため、これらのweakside conceptに対応できるcallをdefenseは用意しなくてはならない。

Connie

offenseがよく用いるCover-7に対するweakside conceptの一つに、

running backをcoverするMac linebackerを、weak sideの#1 receiverがin-breaking routeによって"rub"するものがある。

これに対抗すべく、defenseはman-match Cover-2に似た "Connie"をcallする。

 weaksideの#1 recieverがtight splitであった場合、彼がin-breaking routeをとりMacをrubしてくる可能性が高い。

そのため、このformationに対してdefenseはweaksideにConnieを敷くことが多い。

Macの役割は、内側に向かってくるeligible reciever

cornerの役割は、外側に向かってくるeligible reciever

snapと同時にcornerはゆっくりbailし、#1と#2どちらも視界に入れるようにする。

上図では、#1が内側にreleaseしたため、彼をMacが、running backをcornerがcoverした。

Macはinside leverageにより#1を容易にcoverでき、cornerはoutside leverageによりrunning backを容易にcoverできたため、QBは投げどころを失い、sackされた。

Sabanが生んだCover-7⑥ (vs 3x1) "Stump"

Cover-7特集の第六回は、"Stump"を紹介する。

StumpはMOD(第二回で紹介)の対trips versionである。

cornerは#1 receiverより内側に、そして彼から距離をとってlined upする。

press man-to-manfであるかのように見せて、snapと同時にbailすることもある。

cornerは#1に対してMOD('Man Outside and Deep')をplayするため、#1がunderneathへのrouteをとった場合、"under" callもしくは"smash" callをしてstarに受け渡す。

red zoneにおいて、#3のcorner routeをcoverするために、Stubbieから派生したのがStumpであるという。

Stumpの例①

Starは#2のoutside leverageにlined upしているが、#3をreadする。

#3がunderneathへのoutbreaking routeを走る → rob

#3がverticalまたはinsideへ走る → #2をcover

$の役割は、

#3がunderneathへ走る → wall

その他 → post

※postとは、receiverを追いかけるのではなく、zone offすることである。

SSは#3, #2の順にreadする。

#1がhitchを走ったため、cornerは"smash" callでstarに#2を受け渡し、deep zoneまで下がる。

#3がunderneathへ走ったため、SSは#2へ視線を移す。

#1をstarが、#2をcornerとSSが、#3を$がきちんとcoverできている。

Stumpの例②

第一回のBracketで、"fast 3"に対して"push" callをすることを紹介した。

同様に、3x1 formationに対しても、eligible receiverがweak sideからstrong sideへflatを走った場合、defenseは"fast 4"の考え方をする。

offenseは3x1 formationでrunning backをweak sideにoffsetさせている。

対して、defenseはStumpを敷いている。

cornerはpress setしているが、snapと同時にbailする。

いま、running backがplay fakeの後strong sideにflatを走った。

このrunning backは"fast 4"であり、この時点で実質#3 receiverとみなすことができるため、$がcoverする。

#3はrunning backとの位置関係によりこの時点で実質#4 receiverとみなせるため、Macがcoverする。

これにより、$はrunning backのflatをoutside leverageから、Macはtight endのshallow　routeをinside leverageからcoverすることができた。

Sabanが生んだCover-7⑤ (vs 3x1) "Stubbie"

Cover-7特集の第五回は、"Stubbie"を紹介する。

StubbieはBracket(第一回で紹介)のtrips versionである。

trips sideの#1 receiverに投げられることがあまりないため、

strongsideのcornerは#1に対しMEG('Man Everywhere he Goes')をplayしてもriskyではない、という考え方である。

cornerは#1にpressed setし、彼をman coverしなければならないが、その分複雑なcoverage systemを考えなくても良いため、優秀なcornerを持つチームはStump(次回紹介)よりもStubbieを多用する。

#1をMEGするcornerを除いて考えると、#2, #3に対してCover-2 zoneを敷くのと同じである。

このplayでは、#1がverticalを走ったため、cornerは例外なく彼についていく。

#3もveticalを走ったため、

starは#2のflat

$は#3についていくのをやめ、underneathにzone off

SSは#3のvertical

#2のreturn routeに対し、$がstarをhelpした。

Sabanが生んだCover-7④ (vs 3x1) "Clip"

Cover-7特集第一〜三回では、2-by-2 setsに対してのCover-7を扱ってきたが、

第四回以降はtripsに対しての守り方を共有することにし、

今回は"Clip"を紹介する。

Clipとは、その本質はCover-2であるが、coverageのsystemは、zoneというよりもman-matchに基づいている。

cornerは

#2と#3のoutside系のrouteを全てcoverする

flat zoneに誰も来なかったら#1をplay

starは

#2のupとinside系のrouteを見る

#2がoutside系のrouteを走った場合、

　① #1がcornerのinside release → #1をrob

　② #1がcornerのoutside release → underneathをzone cover

moneyは、#3を見ること以外はstarに同じ。

2019 week 11, New Orleans at Tampa Bay, 5:35 remaining in the 4th quarter, 1st-&-10

いま、Saintsは7人をline of scrimmageにline upさせてpressure lookであるが、

outside linebackerがAlabama systemでいうところのstarの役割を担う。

上図においてそれぞれの目線に注目されたい。

snap後、outside linebackerとinside linebackerはそれぞれ自分のkeyに視線を向け、

cornerは内側を見て、#2や#3のflatを警戒している。

#2がflatを走ったため、cornerは彼をcoverした。

#1がinside系のrouteを走ったため、outside linebackerはunderneathから彼をrobする。

inside linebackerは#3をcoverする。