詰めフット

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よっしゃー・すっげー・えっっぐを卒業するためのNFL観戦法

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CeeDee Lambを完封した49ers defense① - 斬新なThief coverage -

美しい花には毒がある

とはよく言ったものである。

 

今回は、49ers defenseによる、Cowboysのace receiverであるCeeDee Lambを完封した独創的なThief coverageについて何回かに分けて紹介する。

 

要約

・SIM pressureでかつ、LBを交差させるようにzone-offさせる

・Thief coverageによって、LambとMLBのmismatchを避け、SSがdeep crossを文字通り"盗む"

・underneathのhook zoneは捨て、Lambのveticalに人員を割く潔さ

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

pre-snap

2022, Divisional Round, San Francisco vs Dallas, 12:23 remaining in the 1st quarter, 2nd-&-14

2nd down long situation。

Cowboysは、3x1 formationを敷いている。

 

対する49ersは、single-highのman-to-man lookであり、frontはSIM pressureの構えを見せている。

※SIM pressure (Simulated pressure)とは...

多くのdefenderをLOS (Line-Of-Scrimmage)上に配置し、誰がrushに来るか誰がzone-offするかをQBに読ませないalignmentのこと。

 

今後、49ersはdisuguiseをし、coverageの様相は大きく変わることが予想されるが、

現段階でのvacant spaceは、上図のとおりである。

 

(NFLを観戦する際は、football analystのChris Brown氏が

" Find the grass. "

「芝を観ろ」

とおすすめされているように、vacant spaceに着目されると良い。)

 

Cowboysのplay callは、ace receiverのCeeDee Lamb(No.88)を#2にsetさせ、deep crossを走らせるものであるが、現段階では非常に効果的なcallに思える。

 

以降、49ersの美しいdisguiseについて紹介していく。

 

Thief coverage

2nd-&-14というpass-heavy situationにおいて、49ersが選択したのは、上図のようなThief covergeである。

field-side(広side)には、Cover-4が敷かれている。

 

※Thief coverageとは...

snap後、weak-side underneathのdefenderまでhigh-holeまでdropさせ、slot receiverのcrossing routeを文字通り "盗む" concept。

 

ただdropさせるのではなく、

LOS上に7人も配置し、上図のように交差させるようにdisuguiseすることで、

 

QBのPrescottを弄惑する。

 

49ersのcoverageとLamb(No.88)のrouteを合わせると、上図のようになる。

 

deep crossに2人を被らせ、投げづらくさせる

一般に、field-sideにCover-4を敷いた場合、上図のようにMのWarner(No.54)が2RHをplayすることが多い。

2RHとは、

・#2 eligible Receiverがvertical → #2をman-to-man

・#2がその他 → Hook zoneをcover

 

俊足のLamb(No.88)のverticalを、MであるWarnerがman coverすることはmismatchである。

また、WarnerがLOS上にalignしている以上、位置関係的にも圧倒的に不利である。

 

しかし、今回の49ersのようなcoverageにすれば、

・MのWarnerはLambについていく必要はなく、被れば良いだけになる

・SSのHufangaはsafetyであるため、Lambのdeep crossをcoverするのに適切

・QB Prescottの視界の外からLambをcoverするため、"盗む"ことができるかも

 

以降、Lambと、M, SS, FSの4人の位置関係に注目されたい。

snap直後。

現時点では、WarnerがLambのdeep crossに被っているため、Prescottは投げることができない。

 

Warnerがhook zoneに留まったため、あと数歩でLambはWarnerと入れ違い、deep cross windowが空くと予想される。

 

しかし、今回、49ersはThief coverageを敷いていた。

そのため、Prescottの視界の外からHufangaがdeep crossを盗もうとやってきている。

 

HufangaはLOS上からdropしてきているため、Lambに奥を走られてはいるが、

・QBとLambの間に体を入れられれば良い

・deep側からFSのGipsonがhelpに来ている

ことより、問題はない。

 

結局、Prescottは投げることができず、ballを投げ捨てた。

 

さいごに

grassを見てみると、underneathがポッカリ空いている。

次回以降も言及するが、この試合、49ers

Prescottspyを用意していない

・underneathのhook zoneは潔く捨て、Lambのveticalに人員を割く

ことを徹底していた。

 

2nd-&-14 situationであるのだから、投げ捨てず、TEのoutletに投げておけば8-yds近くは稼げたであろう。

 

試合を通して、QB Prescottは、Lambのことしか見れておらず、また、短いpassをつないでいく我慢強さも見受けられなかった。

また、Cowboysのplay call自体も、一辺倒であった。

Prescottspyを用意していない

→QB draw など

・underneathのhook zoneは潔く捨て、Lambのveticalに人員を割く

→Lambのverticalで49ers defenseを縦にstretchさせておいてからの、snag routeやRBのcheckback

・poach coverageも多用(後述する)

→weak-sideのflat zoneをもっと攻める

→Lambのsit routeでback-side safetyを釣っておいてX receiverのpost

などの工夫が必要だったように思う。