詰めフット

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よっしゃー・すっげー・えっっぐを卒業するためのNFL観戦法

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Super Bowl観戦の注目ポイント② - 4x1という超偏重的formationから繰りなす芸術 -

前回の続きです。未読の方はぜひ①から読まれたい。

manimani-football.hatenablog.com

 

要約

4x1のsingle-sideの攻略

① 4人sideに寄らせ、しかも寄ったdefendersのほとんどを無力化

② 4人sideに寄らせてsingle-sideをガラ空きにさせる

③ 13 personnelと4x1を組み合わせるとさらにsingle-sideが脆弱に

 

4x1の4 receivers-sideの攻略

④ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-1-

⑤ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-2-

 

4x1のsingle-sideの攻略

① 4人sideに寄らせ、しかも寄ったdefendersのほとんどを無力化させる

2022, Week 10, Jacksonbille at Kansas City, 5:42 ramaining in the 1st quarter, 1st-&-10

Chiefsは13 personnel、4x1 formationを敷いている。

 

※4x1とは...

本記事では、片方のsideにeligible receivers(RBを含む)が4人いる、もしくはsnap後4人のeligible receiversがrouteに出るformationのことを4x1と呼ぶことにする。

※13 personnelとは...

1 RB, 3 TEsのformation。

 

downfieldを見ると、4x1 formationへの対策として、defendersがかなり4 receivers-sideに寄ったalignmentをしていることがわかる。

 

いま、JaguarsはCover-4を敷いている。

4x1 formationに対して、2-high shellのcoverageを敷くことは、近年のfootballにおいては主流である。

 

※Cover-4とは...

deepを4人のdefendersで守るcoverage conceptの総称。

 

4x1に対しては、single-sideは実質man-to-manすることになる。

 

いま、Chiefsは、上図のようなbackside-flood conceptをcallしている。

primary targetは、Kelceのdeep crossである。

 

MVSは、Campbellのinsideからreleaseし、CampbellだけでなくsafetyのCiscoも引きつける。

 

Pachecoがswing routeに出ることにより、flat zoneを守るLB- Keyは引き寄せられる。

 

皮肉なことに、TEのGrayとFortsonは2人ともrouteに出ず、pass protectionに参加したため、4 receivers-sideに寄ってalignmentした4 defendersがcoverに関して無力化されてしまっているのである。

 

Kelceのdeep crossは当然のようにガッツリopenになった。

 

 

② 4人sideに寄らせてsingle-sideをガラ空きにさせる

2022, Week 11, Kansas City at Los Angels, 14:28 ramaining in the 1st quarter, 2nd-&-7

Chiefsは4x1 formationを敷いている。

 

対するChargersはCover-2を敷いている。

 

これに対し、Chargersは、先述したとおり4 receivers-sideに偏ったalignmentを強いられる。

 

いま、Chiefsのcallは上図のようであり、single-sideのFortsonのslant routeにquick passを投げるconceptである。

 

ここでfrontを見てみると、Chargersは、under-frontを敷いている。

 

under-frontにおいて各DL, LBの担当gapは上図のとおりであるが、

これによりLB- Murrayは、より4 receivers-sideに寄ったalignをすることが可能になる。

裏を返せば、これらのalignmentにより、offenseから見てMurrayの左側にはより大きなspaceができたことになる。

 

ちなみに、一般的な4-men frontであるover-frontを採用すると、上図のようなgapの割り振りとなるが、この場合、Murrayのalign位置は4 receivers-sideから少し遠ざかってしまう。

 

4x1 formationを敷くことによって、Chargers defenseに偏ったalignmentを強い、さらに、Chargersがunder-frontを採用したことによりFortsonのslant routeが大きく空き、QB- Mahomesはsnap後すかさず投げた。

 

③ 13 personnelと4x1を組み合わせるとさらにsingle-sideが脆弱に

2022, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 7:59 ramaining in the 2nd quarter, 2nd-&-5

Chiefsは13 personnelの3x1 formationを敷いている。

上図の隊形はbunch formationと捉えるのが一般的であろうが、bunchを構成する3 receiversが皆TEであるため、13 personnelと解釈することとする。

 

それに対し、Bengals defenseは5-men frontを敷いてきた。

5 OLs + 3 TEsの計8人のblockerがbox内に居り、彼ら同士の間に存在する9つのgapsを埋めるために5-men frontを採用するのは一般的である。

(実際、AFC ChampionshipでBengalsはほとんど5-men frontを採用していた。)

 

ここで、chiefsはPachecoをtear motionに出した。

これにより、offensive-right-sideは4 eligible receiversがいることになり、4x1 formationとみなしても良いだろう。

これを受けて、Bengals defenseは、より4 receivers-sideに寄ったため、上図のようにかなり偏ったalignmentになっている。

 

いま、Bengalsは上図のようなCover-3を敷いている。

(5-men frontを敷いたとき、underneathのdefenders枚数を増やすため、single-highのcoverageがセットでcallされることが多い)

 

※Cover-3とは...

deepを3人のdefendersで守るcoverage conceptの総称。

 

Bengalsが5-men frontを敷いていることにより、

・OssaiはLOS(Line-Of-Scrimmage)上からdropしてflat zoneをcoverしなくてはならない

・4x1 formationのsingle-sideのCB- Appleは、目の前のWR- JuJuを実質man-to-manすることになるが、2nd-&-5という、long passもあり得るsituationにおいてshort-breaking-routeに食い付くことはできない

であり、上図のようにsingle-sideのflat zoneがかなりの弱点となっている。

 

そのため、Mahomesはsnap後すかさずJuJuのslant routeに投げた。

 

4x1の4 receivers-sideの攻略

④ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-1-

2022, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 2:17 ramaining in the 1st quarter, 2nd-&-11

Cheifsは、12 personnel、3x1 formationを敷いている。

 

Chiefsのconceptは上図のようであり、snap後RBがflat routeに出るため、実質4x1であるとみなして良い。

 

いま、BengalsはCover-8を敷いている。

 

※Cover-8とは...

pass-strong side(3 receivers-side)にCover-2

pass-weak side(single-receiver-side)にCover-4

を敷くcoverage。

2-high shellを維持したまま、Cover-3のようにdeepを守ことができるため、modern footballにおいて対3x1 formationとして使われることが多い。

 

Kelceの出だしがverticalにも見えるため、high holeを守るLB- Wilsonが奥に釣られる。

 

Fortsonのshort hookに対して、LB- Prattが内側に釣られる。

 

RB- McKinnonのflatに対して、CB- Hiltonが外側に釣られる。

 

これらをまとめると、Kelceのout routeの周囲のdefendersが、彼から遠ざかるようにように釣られているため、

 

ガッツリopenになった。

 

⑤ 4人のreceiversを自由自在に動かして、空けたいところを空ける-2-

2022, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 1:27 ramaining in the 1st quarter, 1st-&-10

Chiefsは3x2 formationである。

(RBがoffsetしており、彼のrun playはないと考えられるため、empty formationモドキとみなして良いだろう。)

 

ここで、Hardmanをmotionさせる。

 

これにより、offensive-right-sideに4 receiversがrouteに出るため、4x1 formationとみなせる。

 

ここで、BengalsはCover-8 Trixを敷いている。

(3x1や4x1に対して、Cover-8が好まれることは先述したとおりである。)

 

※Trixとは...

back-side safetyのHiltonが#3 receiverであるMcKinnonのverticalをcoverするcoverageのこと。

 

いま、Chiefsのcallは上図のようなconceptである。

 

立ち位置的に#3 receiverであるMcKinnonの出だしがflatに向かうように見えることから、TrixをplayするHiltonは彼のverticalは憂慮すべきでないと判断した。

そして、Kempに視線を移し、彼のverticalをhelpすることにした。

 

motionの勢いのままやってきたHardmanのswing routeに、DE- Ossaiは外側に釣られた。

 

そのため、McKinnonのcurl routeの周囲のdefendersは彼から遠ざかるように釣られ、ガッツリopenになった。

 

 

Super Bowl観戦の注目ポイント① - 12, 13 personnelから生じる、Kelceの超重力 -

要約

① zoneに"シワ"を作る

② pass protectionに参加し、2 defendersを浪費させる

③ box内から素早くrouteに出ることも

④ Wheel/ slide RPOかと思いきや、その裏のplay-action

 

はじめに

14勝3敗 vs. 14勝3敗。

Playoffsのシード権を難なく獲得し、トーナメントも順当に勝ち上がってきた両team。

今回のSuper Bowlが、なるべくしてなった「AFC最強 vs. NFC最強」の直接対決であることは、以下のデータが物語っている。

 

EPA (Excepted-Point-Added)

ひとつひとつのplayが、実質何点分の価値を持って得点に寄与しているかを測る指標。

passかrunか、1st downか3rd downか、で重みの変わってくる"Yard"と違い、「得点できる可能性にどれほど貢献したか」で評価する。

 

ChiefsはEPAがダントツの1位であり、Eaglesも2位につけているが、その差は倍以上もある。

 

ちなみに、Mahomes eraのEPAは上図のようであり、Chiefs offenseがexplosiveであり続けていることを確認されたい。

DVOA (Defense-adjusted-Value-Over-Average)

シチュエーションや対戦相手の強さなどの環境要因を補正した、純粋なパフォーマンスを測る指標。

(3rd-&-4 situationでの5-yards gainは、1st-&-10や3rd-&-12での5-yards gainより価値があるし、Red zoneでのplayは、自陣深くでのplayよりも重要であると言えるため。)

 

Chiefs offenseは、

EPA ... 2位のEaglesに倍以上の差をつけてダントツの1位

DVOA ... pass offenseが1位

であり、対するEaglesは、DVOAが

pass defenseで1位

rush offenseで1位

である。

 

以降、どのようにしてChiefsのoffenseはexplosiveであり続けられているのか、Super Bowl観戦をされる際に注目したいポイントを紹介する。

 

multiple-tight-ends setから生じる、Kelceの超重力

Kelceの超重力とは、Kelceひとりに多くのdefenderが引き寄せられることで、field上のどこかには必ず"穴"が作り出される現象のことを言う。

今seasonのChiefsは、12 personnelや13 personnelといったmultiple-tight-end setを多用し、box内にalignさせたKelceの脅威を最大限認識させていた。

具体的には、

① zoneに"シワ"を作る

② pass protectionに参加し、2 defendersを浪費させる

③ box内から素早くrouteに出ることも

④ Wheel/ slide RPOかと思いきや、その裏のplay-action

などすることで、Kelceが何をしても、相手defenseのどこかには穴を作ることができていたのだ。

 

① zoneに"シワ"を作る

2023, Divisional Round, Jacksonville at Kansas City, 2:25 remaining in the 3rd quarter, 1st-&-10

Chiefsは、13 personnel (1 RB, 3 TEs)である。

 

ここから繰り出されるroute combinationは、上図のようなsmash conceptである。

 

対して、JaguarsはCover-3を敷いている。

 

※Cover-3とは...

deepを3人のdefenderで守るcoverageの総称。

 

重ね合わせると上図のようになるが、

 

普通、

・TE- Gray(No.83)のdeep cross routeはCampbellの担当zone

Ciscoがdeep crossに被り、QBに投げづらくする

ため、紙面上ではそこまで有効なconceptであるようには思われない。

 

しかし、Kelceがshort hook routeを走ることでILBを引きつけ、BellがCBを引っ張ることで、Grayのdeep crossがopenになる。

13 personnelで反対sideからのdeep crossに気がつくことはCBにとって非常に難しく、よくdesignされたconceptであると言えそうだ。

 

snap後、実際に見てみると、

Grayが内側に折れていったのを見たJenkinsは、彼についていかずdeep 1/3にzone-offした。

CampbellはBellのverticalについて行ってしまっている。

 

deep crossに被るはずのCiscoは、Kelceのshort hook routeに過剰に反応し、Grayがopenになっている。

 

② pass protectionに参加し、2 defendersを浪費させる

2023, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 2:08 remaining in the 3rd quarter, 3rd-&-8

Chiefsは12 personnelからmotionさせた。

Kelceはbox内にsetしている。

 

Bengalsは上図のようなCover-1 Dblを敷いている。

Kelceがrouteに出た場合を警戒し、double coverを採ったということだ。

そのため、他のreceiversには、目の前のdefenderとのone-on-oneに打ち勝てば良い状況が生まれている。

 

ここでChiefsのcallはsmach conceptである。

 

snap後、Kelceはpass protectionに参加し、全くrouteに出る脅威がないのにも関わらず、2人のdefendersが彼を警戒し、浪費されてしまっている。

 

defenderとのone-on-oneに勝ったMVSは、single-high safetyのhelpが間に合う前にlong passを受け取ることができた。

 

③ box内から素早くrouteに出ることも

2023, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 8:49 remaining in the 3rd quarter, 1st-&-10

12 personnelからKelceをmotionさせる。

これに対し、Bengalsのdefenderがついてきたため、QB- Mahomesはman-coverageであると判断。

 

single-high lookであることを考えると、上図のようなCover-1であると考えられる。

 

いま、Chiefsは、十八番のWheel/ slide RPOをcallした。

 

※RPO (RUn-Pass-Option)とは...

defenseのcoverageや、defenderのalignmentによって、RunかPassかを判断するoption play。

modern footballでは同じみのconceptである。

 

Chiefsのmotionに対してdefenderがついてきたことより、boxの右側は3vs4の数的不利であり、inside zoneは選択しない。

 

そこで、option progressionに従い、offensive-left sideでoptionすることになるが、

Kelceをman-to-manするdefenderとの位置関係より、Kelceのslide routeが空くであろうと予想したMahomesは、snap後、すぐにslideに投げた。

もし、ILBsが過剰にKelceのslideに反応した場合、boxの右側が数的優位になるため、option 1のinside zoneにhand-offする。

 

④ Wheel/ slide RPOかと思いきや、その裏のplay-action

2023, AFC Championship Game, Cincinnati at Kansas City, 6:52 remaining in the 2nd quarter, 1st-&-10

wheel/ slide RPOやsplit-zoneとinitially departureが同じなplay-actionも用意されており、Kelceをcoverするdefendersを浪費させることができるだけでなく、run playにILBsを食いつかせ、①で紹介したようにdeep crossなどがopenになりやすくなる。

 

さいごに

Super Bowlを観戦される際は、「12, 13 personnelから生じるKelceの超重力」とそれにより生じるdefenseの"穴"に着目されると、より楽しめるだろう。

 

↓参照

https://nfl.savacan3rd.com/entry/2021/12/02/151437

https://nfl.savacan3rd.com/entry/2021/12/02/153225

https://theathletic.com/4147526/2023/02/06/chiefs-eagles-super-bowl-film-breakdown-analysis/?source=user_shared_article

 

2022 AFCC Bengals O vs Chiefs D 感想戦

要約

この試合、Chiefsは十八番のgimmickyなdisguiseを封じ、愚直にも

・2-high shell

・eligible receivers (RB含む)をman-to-man

・Ja'Marr Chaseをdouble cover

で守り続けた。

 

それに対し、Bengalsは

・MOFを突く効果的なcallをそこまでできていなかった

・Chase以外のreceiverがman-to-manを打破できなかった

・そもそもOLのpass protectionが軟弱すぎてdeep crossなど深みを使ったconceptが功をなさなかった

 

Chiefs defenseの採った戦術

① 2-high shell

Chiefs defenseは、全Bengalsのsnap中、約80%もの割合で2-high shellのcoverageを敷いていた。(筆者調べ)

② man coverage

また、そのほとんどがman-basedなcoverageであり、

③ Ja'Marr Chaseをdouble-cover

Bengalsのace receiverであるJa'Marr Chase(No.1)に対して、double-coverを多くのsnapで採用した。

④ disguiseやblitzはしない

2022, Week 18, Kansas City at Las Vegas, 11:40 remaining in the 1st quarter, 2nd-&-6

さらに、ChiefsのDC Steve Spagnuoloは、上図のような大掛かりなdisguiseを多用するcoordinatorであるのにも関わらず、この試合は2回のdisguise、4回のblitzと異常なほど少なかった。

 

↓参照

わずか10秒の間に2-high→single-high→2-highと目まぐるしく変化させる妖艶なdisguiseにはただただ見惚れるしかなかった... - 詰めフット

DC SpagnuoloによるgimmickyなChiefs defense!① - 詰めフット

 

⑤ pass heavy situationでは、off-ball frontを多用

2022, AFC Chanmpionship Game, Cincinatti at Kansas City, 9:12 remaining in the 4th quarter, 1st-&-19

off-ball frontによって、pass-protectionにおいてcenterを無力化し、4-menでも効果的にrushすることができる。

(おそらくQB- Burrowによるrun playがないことを受けてのcallであろう)

 

Chiefs defenseの弱点

十八番のgimmickyなdisguiseを封じ、愚直にも

・2-high shell

・eligible receivers (RB含む)をman-to-man

・Ja'Marr Chaseをdouble cover

で守り続けたChiefs。

 

その代償として、試合を通じてかなり多くのsnapで

このようにMOF(Middle-Of-the-Field)ががっぽりopenになっていた。

(上図のsecond-level defenderの視線と、field上のvacant spaceに着目されたい。)

 

 このcoverageでは、hook zoneに留まるdefenderを用意できないため、

・inside-breaking route

・QB draw

に対して非常に脆弱なcoverageである。

 

Bengalsは、この弱点を突くcallをあまり出せていない印象だったが、いくつか見られた工夫を以下に挙げていく。

 

① 2-back formation

② QB draw

③ Chaseのgravity

 

① 2-back formation

Chiefsの2-high shellのman-to-man coverageに対して非常に効果的なformationに見えたのは、上図のような2-backである。

 

2-back formationに対し、Chiefs defenseは毎回上図のようなcoverを選択した。

例①

2022, AFC Chanmpionship Game, Cincinatti at Kansas City, 0:58 remaining in the 2nd quarter, 1st-&-10

Bengalsは2-back formation。

 

Chiefsは、Chaseをdouble-coverする、man coveraveを敷いている。

先述したように、inside-breaking routeが弱いcoverageであるため、ChiefsのDBsは対するWRを外側にbumpし、outside releaseさせる。

 

いま、Bengalsのpass conceptは上図のとおりである。

2人のRBsを左右のrouteに出すことで、彼らをman coverするILBsをperimeterに引き出し、Irwinのpost windowが空くのを助ける。

 

snap後。

・Chaseをboudary-side safetyがdouble coverしている

・2-RBsがrouteにでたことにより、ILBsが外にひっぱり出されている

こともあり、MOFが大きくopenになっている。

しかし、4-men rushであるのにも関わらず、Irwinがdefenderとすれ違うまでpass-protectionが持たず、QB- BurrowはHigginsに投げざるを得なかった。

例②

全く同じconceptが、数play後callされている。

2022, AFC Chanmpionship Game, Cincinatti at Kansas City, 0:32 remaining in the 2nd quarter, 1st-&-10

例①と全く同じ現象が起きている。

QB- Burrowは、Irwinがopenになるまで待ちきれなかったのか、またもやHigginsに投げた。

 

② QB draw

2022, AFC Chanmpionship Game, Cincinatti at Kansas City, 11:00 remaining in the 3rd quarter, 3rd-&-6

Bengalsはempty formationである。

 

それに対し、Chiefsは例によって、2-high shellのman coverageを敷いている。

 

この試合、3rd down situationでよくcallされていたoff-ball frontである。

 

snap後。

second-level defendersは全員、QBから目を切っており、hook-zoneががっぽり空いている。

そのため、BurrowのQB drawは12-yardsも出し、3rd-&-6を難なく更新した。

 

③ Chaseのgravity

2022, AFC Chanmpionship Game, Cincinatti at Kansas City, 10:51 remaining in the 2nd quarter, 2nd-&-10

Bengalsは2x2 formationを敷いている。

 

対してChiefsは、またもや2-high shellのman coverageを敷いており、Chaseをdouble cover、second-level defendersは目の前のreceiverを外側にbumpする。

 

いま、Bengalsのcallは、上図のようなconceptであり、#2のBoydのverticalがprimary targetである。

 

Chaseをdouble coverするTornhillが外側に開き、boundary-side(狭side)のReidは#1のdig routeに釣られるため、

 

BoydのためのMOFがより大きく空くという魂胆である。

彼をman-to-manするMcduffieは、MOFに入らせないよう外側にbumpし、outside-releaseをさせようと試みたが、Boydに内側からreleaseされてしまい、vertical windowが空いた。

 

さいごに

この試合、Chiefsは十八番のgimmickyなdisguiseを封じ、愚直にも

・2-high shell

・eligible receivers (RB含む)をman-to-man

・Ja'Marr Chaseをdouble cover

で守り続けた。

 

それに対し、Bengalsは

・MOFを突く効果的なcallをそこまでできていなかった

・Chase以外のreceiverがman-to-manを打破できなかった

・そもそもOLのpass protectionが軟弱すぎてdeep crossなど深みを使ったconceptが功をなさなかった

 

さいごに、Bengalsの2-back formationからのplayを全て共有しする。

 

「肉を切らせて骨を断つ」深謀遠慮な知略の応酬

肉を切らせて骨を断つ

2022-2023 season, Divisional Round。

49ersMLB- Fred Warnerの超人的なcoverが話題になったplayがある。

LOS上からスタートして、Cowboysの俊足WR- CeeDee Lambのverticalを防いだシーンだ。

インターネット上では、Warnerのathleticismに陶酔する者もいれば、QB- Dak Prescottのquarterbackingを誹る者もいた。

しかし、このワンシーンにおいて、真に注目すべきは、49ers defenseとCowboys offenseの両coordinatorsによる、深謀遠慮な知略の応酬である。

そして、一枚うわてだったのは、思い切りのいいcallを選択した49ers defenseであった。

 

要約

・3rd-&-5 situation

49ersは2-Rollでunderneathを固める代わりにMOFは激弱なcoverage

・そのウラをかいてCowboysは4-Vertでdeepを猛攻

・しかし、49ersによる瞬殺のblitzの前に斃れた

まさに『肉を切らせて骨を断つ』守り方

 

長い考察であるが、小説のような読み応えにきっとご満足いただけるため、ぜひ最後まで読まれたい。

 

まずは動画からご覧に入れる。

 

pre-snap

2022, Divisional Round, San Francisco vs Dallas, 6:16 remaining in the 3rd quarter, 3rd-&-5

3rd-&-5 situation。

Cowboysは、empty formationを敷いており、ace receiverのCeeDee Lamb(No.88)を#3 にsetさせている。

 

※emptyとは...

0 RBで、5人のeligible receiversがperimetersに並んだpass-heavyなformation。

 

ここでCowboysはLambにpeel motionさせる。

これに対し、FSのGipson(No.31)がついてきたため、49ersはman coverageを敷いていると考えられる。

 

single-high lookであることを踏まえると、現時点では上図のようなCover-1も考えられる。

 

front defenderが何人か上図のvacant spaceにdropする可能性は大いにあるが、

motionに対するadjustを見る感じ、man-basedなcoverageであることは間違いないであろう。

そして、LambをFS-Gipsonがman-to-manする。

 

49ers defenseのcoverage

2-Roll coverage

実際は、49ers defenseは上図のような2-Roll coveageを敷いていた。

single-high lookから、2-high shellにdisguiseしている。

flat zoneに強い

予想されたman coverageではなく、zoneで守っている。

そのため、3rd-&-5というsituationにおいて十分想定されるshort-pick(rub)やquick outなどに対してかなり効果的であると言える。

 

※short-pick(rub) routeとは...

近目にsetさせたreceivers同士を交差させるrouteを走らせるなどして、彼らをman-to-manするdefenders同士をぶつからせる、または片方のreceiverで妨害することで、片方のreceiverをopenにさせるconcept。

 

また、2-high shellであることより、single-high zoneのdefenseで弱点となるflat zoneが、両sideともcoverされることとなる。(上図のオレンジ)

Buzz

さらに、このcoverageにおいて特筆すべきことは、boundary side(狭side)のdeep 1/2をsafetyではなく、CBがcoverすることである。

このようなcoverageは稀であるため、post-snapでCBが大きくdeepにdropしている動きは、QBにとってはCover-3のようなsingle-high zoneであるように見えてしまう。

しかし、実際はflat zoneにLBがbuzzするため、flat routeをtrapすることができるというわけだ。

弱点

しかし、このconceptにおいて弱点となるのは、上図のseamである。

もともと、2-high shell zoneのcoverageにおいてMOF(Middle-Of-the-Field)は弱く、

さらに2-RollではCBがdeep 1/2をcoverするため、余計にMOFが大きく空くだろう。

3RH

そこで、49ersは、上図のようにM- Warnerに3RHをplayさせることによって、Lambのseam(vertical)をcoverしようとする。

 

MLBに俊足のLambのverticalをcoverさせるのはあまりにも酷だが、3rd-&-5というsituation的に思い切ったcallが出されたのであろう。

 

※3RHとは...

match-coverageの用語。

・#3 eligible Receiverがvertical → #3をman-to-man

・#3がその他 → Hook zoneをcover

 

Cowboys offenseのplay concept

今まで、長々と49ers defenseが2-Rollをcallしたその心について解説してきたわけであるが、

Cowboysのcallは、49ersの予想に反して4-Vert conceptであった。

 

underneath、特にflat zoneに人手を割いた49ersの思惑に反し、Cowboysは4人のreceiversをdeepに走らせた。

そして、先述した弱点のMOFに2人も入っていく。

2-Rollは大外れである。

 

49ers defenseのblitz design

QBに投げられる前に仕留める

Cowboysの4-Vert conceptにおいて、QBのread progressionは上図のとおりである。

 

以降、QB- Prescottの目線に注目されたい。

snap直後、1st readのWR- Gallup(No.13)を見ている。

 

その後、2nd readであるLambに視線を移す。

 

LambはWarnerにうまく被られており、あまりtargetとしては相応しくないように見える。

しかし、すでにGipsonのblitzが差し迫っており、3rd readを確認する余裕がない。

 

そのため、Prescottは一か八かでLambに投げたが、Warnerの好coverによってdownの更新を阻まれてしまった。

3rd targetはガラ空きだった

先述したとおり、49ersの2-Rollでは、WR-Tolbert(No.18)のseam(vertical)をcoverすることはできず、ドフリーになっている。

あとコンマ数秒の猶予があれば、Prescottは確実にTolbertに投げることができたであろうし、もしそうなっていたら一発touchdownに繋がっていただろう。

 

QBに時間を与えない美しいblitz design

では、どのようにして、49ers defenseは、こんなにも早くblitzerをPrescottに到達させることができたのだろうか。

 

pre-snap。

49ersは上図のとおり、5-men frontである。

これにより、Cowboysはpass protection ruleをBOB(Big-On-Big)にせざるを得ない。

 

これに対し、49ersのblitzは上図のようなdesignである。

4人しかrushに入れないようだ。

 

Georgia大のplaybookにある、"FALCONS"というblitz designによく似ている。

 

以降、このdesignについてbox内を左右に分けて、詳しく見ていく。

defensive-right-side

defensive-right-sideは、C, LG, LTとWarner, Ebukam, BosaがそれぞれBOBである。

しかし、WarnerとEbukamがzone-offし、rushをかけるのはBosaのみである。

 

snap後、Warnerは3RHをplayするため勢いよくdropした。

Ebukamは、CとLGを引き付けるため、一歩rushするふりをしてからzone-offした。

これにより、上図のとおり、defensive-right-sideは、たったの1人しかrushしていないのに、OLは3人も引きつけることに成功しており、CとLGの2人をprotectionに関して無力化させることに成功している。

 

この後、C- Biadaszはdefensive-left-sideからやってきたcrossface-A-gap stunt(後述する)のhelpをしたが、

LG- McGovernは本当に何もすることができていない。

QB- Prescottには、blitzerの魔の手がすでに迫っているというのに。

defensive-left-side

defensive-right-sideのprotectionは、RG, RTとArmstead, OmenihuがそれぞれBOBであった。

一方、49ersのblitz designは上図のようである。

 

OmenihuがCOP(COntain-Pressure)し、Armsteadがcrossface-A-gap stuntでRGを引きつけつつ、Cを巻き込む。

大きく空いたB-gapにGipsonがblitzに入る。

 

snap後。

2vs2のBOBである。

ArmsteadはRGに一歩向かってからstuntをすることで、RGの注意を引き、B-gap blitzの存在に気づかせないよう工夫している。

 

RGとRTの2人は、目の前のDLに夢中になるあまり、B-gapを大きく空けてしまい、Gipsonは難なくPrescottに到達することができた。

最後に、

たったの4人しかrushしていないのに

・LGはprotectionに関して無力化されている

・GipsonはB-gapを素通り

できていることを再度確認されたい。


さいごに

Lambのpeel motionに対してGipsonがついてきたことより、

 

上図のようなman-coverageであるとPrescottが判断したことは先述した。

 

ここからGipsonをblitzに入れるわけであり、snap後のPrescott

Lambをman-to-manしているdefenderがblitzに入った

→Lambがopenになりやすい

と考えてしまったに違いない。

 

↓の記事でも解説したが、Prescottの視界の外からace receiverであるLambをman-to-manするcoverage designは、Prescottに対して非常に有効であったと言えそうだ。

 

まぁ、LOSからのスタートで、位置関係的にもスピード的にもmismatchなLambに対してこのcoverができる超人的なMLBがいなければ、49ers defenseは

肉だけでなく骨も切られていた

であろう。

 

manimani-football.hatenablog.com

 

 

↓参考

 

 

CeeDee Lambを完封した49ers defense① - 斬新なThief coverage -

美しい花には毒がある

とはよく言ったものである。

 

今回は、49ers defenseによる、Cowboysのace receiverであるCeeDee Lambを完封した独創的なThief coverageについて何回かに分けて紹介する。

 

要約

・SIM pressureでかつ、LBを交差させるようにzone-offさせる

・Thief coverageによって、LambとMLBのmismatchを避け、SSがdeep crossを文字通り"盗む"

・underneathのhook zoneは捨て、Lambのveticalに人員を割く潔さ

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

pre-snap

2022, Divisional Round, San Francisco vs Dallas, 12:23 remaining in the 1st quarter, 2nd-&-14

2nd down long situation。

Cowboysは、3x1 formationを敷いている。

 

対する49ersは、single-highのman-to-man lookであり、frontはSIM pressureの構えを見せている。

※SIM pressure (Simulated pressure)とは...

多くのdefenderをLOS (Line-Of-Scrimmage)上に配置し、誰がrushに来るか誰がzone-offするかをQBに読ませないalignmentのこと。

 

今後、49ersはdisuguiseをし、coverageの様相は大きく変わることが予想されるが、

現段階でのvacant spaceは、上図のとおりである。

 

(NFLを観戦する際は、football analystのChris Brown氏が

" Find the grass. "

「芝を観ろ」

とおすすめされているように、vacant spaceに着目されると良い。)

 

Cowboysのplay callは、ace receiverのCeeDee Lamb(No.88)を#2にsetさせ、deep crossを走らせるものであるが、現段階では非常に効果的なcallに思える。

 

以降、49ersの美しいdisguiseについて紹介していく。

 

Thief coverage

2nd-&-14というpass-heavy situationにおいて、49ersが選択したのは、上図のようなThief covergeである。

field-side(広side)には、Cover-4が敷かれている。

 

※Thief coverageとは...

snap後、weak-side underneathのdefenderまでhigh-holeまでdropさせ、slot receiverのcrossing routeを文字通り "盗む" concept。

 

ただdropさせるのではなく、

LOS上に7人も配置し、上図のように交差させるようにdisuguiseすることで、

 

QBのPrescottを弄惑する。

 

49ersのcoverageとLamb(No.88)のrouteを合わせると、上図のようになる。

 

deep crossに2人を被らせ、投げづらくさせる

一般に、field-sideにCover-4を敷いた場合、上図のようにMのWarner(No.54)が2RHをplayすることが多い。

2RHとは、

・#2 eligible Receiverがvertical → #2をman-to-man

・#2がその他 → Hook zoneをcover

 

俊足のLamb(No.88)のverticalを、MであるWarnerがman coverすることはmismatchである。

また、WarnerがLOS上にalignしている以上、位置関係的にも圧倒的に不利である。

 

しかし、今回の49ersのようなcoverageにすれば、

・MのWarnerはLambについていく必要はなく、被れば良いだけになる

・SSのHufangaはsafetyであるため、Lambのdeep crossをcoverするのに適切

・QB Prescottの視界の外からLambをcoverするため、"盗む"ことができるかも

 

以降、Lambと、M, SS, FSの4人の位置関係に注目されたい。

snap直後。

現時点では、WarnerがLambのdeep crossに被っているため、Prescottは投げることができない。

 

Warnerがhook zoneに留まったため、あと数歩でLambはWarnerと入れ違い、deep cross windowが空くと予想される。

 

しかし、今回、49ersはThief coverageを敷いていた。

そのため、Prescottの視界の外からHufangaがdeep crossを盗もうとやってきている。

 

HufangaはLOS上からdropしてきているため、Lambに奥を走られてはいるが、

・QBとLambの間に体を入れられれば良い

・deep側からFSのGipsonがhelpに来ている

ことより、問題はない。

 

結局、Prescottは投げることができず、ballを投げ捨てた。

 

さいごに

grassを見てみると、underneathがポッカリ空いている。

次回以降も言及するが、この試合、49ers

Prescottspyを用意していない

・underneathのhook zoneは潔く捨て、Lambのveticalに人員を割く

ことを徹底していた。

 

2nd-&-14 situationであるのだから、投げ捨てず、TEのoutletに投げておけば8-yds近くは稼げたであろう。

 

試合を通して、QB Prescottは、Lambのことしか見れておらず、また、短いpassをつないでいく我慢強さも見受けられなかった。

また、Cowboysのplay call自体も、一辺倒であった。

Prescottspyを用意していない

→QB draw など

・underneathのhook zoneは潔く捨て、Lambのveticalに人員を割く

→Lambのverticalで49ers defenseを縦にstretchさせておいてからの、snag routeやRBのcheckback

・poach coverageも多用(後述する)

→weak-sideのflat zoneをもっと攻める

→Lambのsit routeでback-side safetyを釣っておいてX receiverのpost

などの工夫が必要だったように思う。

BOSS frontでRGを孤立させ、RTのようなplayingを強いることで、Nickel blitzは素抜け同然

美しい花には毒がある

とはよく言ったものである。

 

今回は、Chargers HC Brandon Staleyによる、美しすぎる必殺のblitz designを紹介する。

 

要約

① PESO package

② BOSS front w/ SIM pressure

③pass protectionをhalf-slideに強制

④ RG を孤立させる

⑤ RGにRTのようなplayingを強いる

⑥ Cをprotectionに関して無力化させる

 

まずは動画からご覧に入れたい。

vimeo.com

Package

2022, Week 17, Chargers vs Rams, 13:10 remaining in the 1st quarter, 3rd-&-4

この試合初めての3rd-down situation。

ChargersはPESO (2-4-5) packageを敷いている。

 

※PESO (2-4-5) packageとは...

DL(上図赤)2枚、LB(上図黄)4枚、DB(上図青)5枚で構成されるpackageのこと。

modern footballにおいてちらほら見られる、aggressiveなcall。

 

Front

Chargersは、BOSS front w/ SIM pressureを敷いている。

 

※BOSS (Bigs-On-Same-Side)とは...

DLをbox内の片側にalignmentさせたfrontのこと。

※SIM pressure (Simulated pressure)とは...

多くのdefenderをLOS (Line-Of-Scrimmage)上に配置し、誰がrushに来るか誰がzone-offするかをQBに読ませないalignmentのこと。

 

Pass-Protection

ChargersのBOSS frontは、必然的に、Ramsのpass protectionルールを、

offensive-right-sideへのhalf-slide

にさせる。

なぜなら、BOSSに対して、BOB(Big-On-Big: つまりman-to-man)でprotectionすることは避けたいからである。

 

※Half-Slide protectionとは...

今回で言うと、

・LG~RTまでの4人はそれぞれ自分の右のgapを担当とし、上図の赤い部分にいるdefender4人を全体でprotectionする。

・LTはJをman-to-man

・RBはcheck-and-release (Wがblitzに来なければsafety-valveに出る)

 

美しすぎるBlitz Design

以降、Chargers HC Brandon Staleyによる、美しすぎるblitz designについて解説していく。

Chargersのcallは、Ramsが想定していなかったであろう、上図のようなNickel blitzである。

 

・両edgeはcontain rush(大外を守りながらrush)

・NGはC越えのstunt

・DTはA-gapにstunt

 

・perimeterにいるnickelがblitzに入る。

・MUGしていたMはzone-offし#3をwallする。

・WはRBをman-to-man

 

※MUGとは...

LBがbox内側のLOS上にalignmentすること。

 


まとめると上図のようになる。

このblitz designの美しい点は、

・BOSS frontによって、Ramsのpass protectionをdefensive-leftへのhalf-slideに強制

・Mをzone-offさせ、代わりにNiをblitzに入れることで、rushの人数は5人で済む。

・NをC越えさせ、Sに大きくcontain rushさせることで、RGを孤立させる。

・5-techniqueにalignさせていたDTをA-gapにstuntさせることにより、RGにRTのようなplayingを強いる

 

post-snap

以降、snap後の動きを見ていく。

MUGしていたMがzone-offし、代わりにNiがB-gapにblitzに入る。

 

 

DTが5-techniqueからA-gapにstuntすることにより、RGにRTのようにplayさせることに成功している。RGはDTにocuupiedである。

 

Mがzone-offし、Niが代わりにblitzに入っているため、Rams offenseのHalf-Slide protectionで理論上は守られるはずである(LG~RTまでの4人 vs N, T, S, Ni)。

しかし、Mがzone-offし、perimeterのNiがblitzしてきたため、Cが誰もblockすることができず、無力化されてしまっている。

一方、その恩恵を受けたNiは、がっぽり空いたB-gapを難なく通り抜け、

 


QBをsackすることができた。

 

↓参考

vimeo.com

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Cover-8 TRIXを見破り、最も効果的なconcept にaudible [Lawrence]

要約

① defenseがCover-8 Trixを敷いていると見破ったLowrenceはaudibleをかける

② Dagger Sit conceptを採用

③ primary targetの#2 verticalは、位置関係的にmismatch

④  back-side safetyはtrix callのため、#2のverticalは見ない

⑤ digやsitで他のdefenderを引きつける

⑥ Lawremceによる正確なread progression

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

Pre-snap の audible

2022, Wild Card, Jacksonbille vs Los Angels, 1:02 remaining in the 3rd quarter, 1st-&-10

pre-snap。

Jaguarsは3x1 setである。

対して、Chargersはtilted 2-high lookであり、これからsingle-highにも2-highにも移行しうる。

 

ここで、Lawrenceが何かに気づき、audibleを出した。

 

※audibleとは...

snap前に相手defenseのalignmentを見て、臨機応変にplaycallを変更すること。

 

Cover-8 Trix

いま、Chargersのcoverageは、上図のようなCover-8 Trix (HQQ Trix)である。

(ただし、これはあくまで定義通りの絵)

 

※Cover-8とは...

HQQ: Half-Quarter-Quarterのこと。

pass-strong-sideをCover-2、pass-weak-sideをCover-4で守る。

trips-sideにspecific-receiverがalignしている時効果的。

※Trixとは...

weak-side safetyがtripsの#3 receiverのverticalをcoverするcall。

通常のdefenseでは、3x1の#3のverticalとinside-linbackerのmismatchが生じるため、それを補完するために生まれた。

 

上図が、今回の実際のCover-8 Trixである。

・#3 (Kirk)のverticalをback-side safety(James)がcover

・TEをCBがman-to-man (trix callによりsafetyのhelpを受けられないため)

・RBをwill linebackerがman-to-man

 

Dagger Sit concept

いま、Jaguarsのplayは、Dagger-Sit conceptである。

#1がdeep dig, #2がvertical, #3がsitを走る。

TEはomahaを走り、spaceを空ける。

vs single-high → #1 dig

vs 2-high → #2 vertical

vs man → #3 sit

がprimary targetとなる。

今回は、vs 2-highであるため、#2 verticalが第一候補である。

 

先述したように、back-side safetyが#3のverticalをcoverする。

trips-sideのsafetyはdeep 1/2を持つ。

そのため、#2のverticalは

・weak-side safetyは#3のverticalを見ているため担当外

・trips-side safetyのhelpは補助的にしか受けられない

ことより、nickel(CB)のCallahanがman-to-man気味になる。

 

JonesとCallahanの位置関係的に、Jonesのvertivalをman-coverすることが難しいのは明らかである。

 

snap後の位置関係

以降、snap後のJones (#2)とCallahan(CB)、James(S)の位置関係に注目されたい。

Jones(#2)は初速からトップスピードに乗っている。

trixであるため、James(S)は#3(sit)をreadしている。

#1(dig), #2(vertical)ともにdeepを走ろうとしているため、trips-sideのsafetyは深みをとっている。

 

Callahan(CB)が途中でJones(#2, vertical)についていけなくなった、もしくはついていくのを辞めた。

coverage-ruleの理解を誤った可能性が高いが、#1のdig routeが彼を引きつけたことは間違い無いだろう。

また、back-side safetyのJamesはtrixのcall通り、#3のsitしか見ていない。

 

その結果Jonesの#2 verticalがopenになり、39-yds touchdownとなった。

 

Lawrenceのread progression

最後に、QB Lawrenceの目線に言及して終わりにしたい。

Lawrenceはsnap前、defense全体のalignmentを確認した。

 

snap後、視線を少し左のback-side safetyに移し、

 

back-side safetyが、#3をreadしていることより、trixであると確信。

 

今度は滑らかにweak-side CBに目線を移し、彼がdeep 1/4をcoverしておらず、receiverをman-to-manしていることを確認。

(もしCBがdeep1/4を持っていた場合、Jonesの#2 verticalがcoverされる可能性があるからである。)

 

最後に目線を#2のJonesを見て、思惑通りwide openになっていることを確認すると、

 

投げた。