詰めフット

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よっしゃー・すっげー・えっっぐを卒業するためのNFL観戦法

詰めフット

わずか10秒の間に2-high→single-high→2-highと目まぐるしく変化させる妖艶なdisguiseにはただただ見惚れるしかなかった...

 

QBにとって、safetyが1人なのか2人なのかはとても重要な情報である。

2-high look = Cover-2, Cover-5 (Cover-2-MAN), Cover-6, Cover-7 (split-field-coverage), Cover-8, ...etc

 

single-high look = Cover-1, Cover-3, Cover-9, ...etc

 

先週行われたWeek 18のChiefs vs Raidersにおいて、

わずか10秒間で、2-high → single-high → 2-highと変化させる妖艶なdisguiseが見られたため、紹介する。

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

 

safetyのalignmentの変移

2022, Week 18, Kansas City at Las Vegas, 11:40 remaining in the 1st quarter, 2nd-&-6

pre-snapの初めのうちは、2-high lookである。

 

ここから上図のようにrotateし、

 

snap直前にはsingle-high lookになった。

ここまではよくみる光景である。

 

snapと同時。

今度は上図のように、CB McDuffie (No.21)が大きくdeepに下がり、

 

snap直後にはまたしても2-highとなった。

 

種明かし

Pre-snap (motion前)

Raidersは最初、3x1 formationであり、ace receiverである Devante Adams (No.17)がtrips sideの#3 にsetしている。

 

それに対し、Chiefsは前述の通り2-high lookであり、

 

大きいdisguiseで分かりづらいが、実はCover-8 (HQQ: Half-Quarter-Quarter)モドキを敷いている。

(モドキとあえて表現する理由は後述する。)

また、weak sideからsafety blitzを入れる。

 

※HQQとは...

pass-strong-side (今回は3 receiversがsetしているoffeinsive-right)に対し、deep 1/2をdefenderがcoverするCover-2、

pass-weak-sideに対しdeep 1/4ずつをcoverするCover-4をcallするもの。

一般に、trips sideにspecific receiverがいる場合、相性が良い。

 

 

正確には、上図のように、HQQ TRIXであり、disguise後back-side safetyになるS Sneed (No.38)が#3のAdamsのverticalをcoverする。

 

※ TRIXとは...

back-side safetyが#3 receiverのvertical routeをcoverするもの。

一般的なcoverageでは、#3 receiverをcoverするのはlinebackerであり、verticalを走られては、leverage的にもspeed的にもmis-matchである。

tripsの#3 receiverに俊足のTyreek Hillを置き、verticalを走らせるconceptを好んだ昨季までのChiefsに対して、よく見られた守り方であることは、以前の記事で紹介した通りである。

 

TRIXをcallしてあることより、trips sideは、4人vs3人で数的優位となっており、

また、AdamsをLBとSでdouble coverしているため、ace receiver対策がしっかりとなされていることがわかる。

 

Pre-snap (motion後)

ここでRaidersがAdamsをmotionさせる。

 

それに対し、Chiefs defenseは上図のようにrotateし、

 

上図のようなCover-6モドキ (QQH: Quarter-Quarter-Half)に変更した。

(LBはman-match likeなcover)

 

※QQHとは...

pass-strong-side (今回は3 receiversがsetしているoffeinsive-right)に対し、deep 1/4ずつをcoverするCover-4、

pass-weak-sideに対しdeep 1/2をdefenderがcoverするCover-2をcallするもの。

一般に、対3x1において、single-sideにace receiverがsetしている場合効果的。

 

このchiefs defenseによるadjustは決して脈絡のないものではないことは、defenderの誰1人として戸惑う様子がないことからも納得いただけるだろう。

 

実は、Chiefs defenseには、"ZEUS"というcallを実行していたのである。

 

※ ZEUSとは...

specific receiverのいるsideにHalfを、その逆sideにQuarterをcallするもの。

 

ZEUSをcallされていたchiefs defenseは、Adamsの移ったweak sideをHalf、その逆をQuarterで守れば良いことになる。

2nd-&-6というpass situationにおいて、 Devante Adamsへのpassを封じたいというChiefs DC Spagnuoloの意思が汲み取れる。

 

話を戻そう。

ここで、Raidersのplayは、上図のようである。

single-highのzone coverageには非常に有効なconceptに見える。

 

しかし、ChiefsのQQH (with LB man-match)に対しては、

・offensive-right-sideのvertical系のroute2本は、Quarterによってcover可能

・offensive-left-sideの#1のin-routeに対して、deep 1/2を守るsafetyがcover可能

Adamsに対しては、CBが外側から、LBが内側から挟み込むようにcover可能

の理由により、どのreceiverもopenにならない。

 

以降、各defenderの動きに注目されたい。

CB McDuffie (No.21)が大きく下がり、deep 1/4をcover。

S Reid (No.20)がblitzに入る。

LBの2人は、RBがpass-protectionに参加するのを確認するや否や、それぞれのsideの#2 receiverに向けて体を完全に返している。

(このman-match likeなLBの動きこそが、私がQQHモドキと表現した理由である。)

 

Adamsを外内両方からcoverできている。

offensive-right-sideの#2も、safetyとLBで上下で挟みうまくcoverできている。

Reidのsafety blitzによって、QBはscrambleした。

 

結果、scrambleによってdownの更新を許してしまったが、このgimmickyなdisguiseは、ただただ美しく、見惚れるしかなかった。

 

わずか10秒間で、2-high → single-high → 2-highとめまぐるしく様相を変える変幻自在感と、LB2人ともを完全にpass fitさせる思い切りの良さ。

 

MahomesとKelceを中心とした、explosiveなoffenseばかりが取り沙汰されるが、defenseの貢献も大きいことを再確認されたい。