QBにとって、safetyが1人なのか2人なのかはとても重要な情報である。
2-high look = Cover-2, Cover-5 (Cover-2-MAN), Cover-6, Cover-7 (split-field-coverage), Cover-8, ...etc
single-high look = Cover-1, Cover-3, Cover-9, ...etc
先週行われたWeek 18のChiefs vs Raidersにおいて、
わずか10秒間で、2-high → single-high → 2-highと変化させる妖艶なdisguiseが見られたため、紹介する。
まずは動画からご覧に入れたい。
— まにまに (@dal_kc_manimani) 2023年1月14日
safetyのalignmentの変移
2022, Week 18, Kansas City at Las Vegas, 11:40 remaining in the 1st quarter, 2nd-&-6
pre-snapの初めのうちは、2-high lookである。
ここから上図のようにrotateし、
snap直前にはsingle-high lookになった。
ここまではよくみる光景である。
snapと同時。
今度は上図のように、CB McDuffie (No.21)が大きくdeepに下がり、
snap直後にはまたしても2-highとなった。
種明かし
Pre-snap (motion前)
Raidersは最初、3x1 formationであり、ace receiverである Devante Adams (No.17)がtrips sideの#3 にsetしている。
それに対し、Chiefsは前述の通り2-high lookであり、
大きいdisguiseで分かりづらいが、実はCover-8 (HQQ: Half-Quarter-Quarter)モドキを敷いている。
(モドキとあえて表現する理由は後述する。)
また、weak sideからsafety blitzを入れる。
※HQQとは...
pass-strong-side (今回は3 receiversがsetしているoffeinsive-right)に対し、deep 1/2をdefenderがcoverするCover-2、
pass-weak-sideに対しdeep 1/4ずつをcoverするCover-4をcallするもの。
一般に、trips sideにspecific receiverがいる場合、相性が良い。
正確には、上図のように、HQQ TRIXであり、disguise後back-side safetyになるS Sneed (No.38)が#3のAdamsのverticalをcoverする。
※ TRIXとは...
back-side safetyが#3 receiverのvertical routeをcoverするもの。
一般的なcoverageでは、#3 receiverをcoverするのはlinebackerであり、verticalを走られては、leverage的にもspeed的にもmis-matchである。
tripsの#3 receiverに俊足のTyreek Hillを置き、verticalを走らせるconceptを好んだ昨季までのChiefsに対して、よく見られた守り方であることは、以前の記事で紹介した通りである。
TRIXをcallしてあることより、trips sideは、4人vs3人で数的優位となっており、
また、AdamsをLBとSでdouble coverしているため、ace receiver対策がしっかりとなされていることがわかる。
Pre-snap (motion後)
ここでRaidersがAdamsをmotionさせる。
それに対し、Chiefs defenseは上図のようにrotateし、
上図のようなCover-6モドキ (QQH: Quarter-Quarter-Half)に変更した。
(LBはman-match likeなcover)
※QQHとは...
pass-strong-side (今回は3 receiversがsetしているoffeinsive-right)に対し、deep 1/4ずつをcoverするCover-4、
pass-weak-sideに対しdeep 1/2をdefenderがcoverするCover-2をcallするもの。
一般に、対3x1において、single-sideにace receiverがsetしている場合効果的。
このchiefs defenseによるadjustは決して脈絡のないものではないことは、defenderの誰1人として戸惑う様子がないことからも納得いただけるだろう。
実は、Chiefs defenseには、"ZEUS"というcallを実行していたのである。
※ ZEUSとは...
specific receiverのいるsideにHalfを、その逆sideにQuarterをcallするもの。
ZEUSをcallされていたchiefs defenseは、Adamsの移ったweak sideをHalf、その逆をQuarterで守れば良いことになる。
2nd-&-6というpass situationにおいて、 Devante Adamsへのpassを封じたいというChiefs DC Spagnuoloの意思が汲み取れる。
話を戻そう。
ここで、Raidersのplayは、上図のようである。
single-highのzone coverageには非常に有効なconceptに見える。
しかし、ChiefsのQQH (with LB man-match)に対しては、
・offensive-right-sideのvertical系のroute2本は、Quarterによってcover可能
・offensive-left-sideの#1のin-routeに対して、deep 1/2を守るsafetyがcover可能
・Adamsに対しては、CBが外側から、LBが内側から挟み込むようにcover可能
の理由により、どのreceiverもopenにならない。
以降、各defenderの動きに注目されたい。
CB McDuffie (No.21)が大きく下がり、deep 1/4をcover。
S Reid (No.20)がblitzに入る。
LBの2人は、RBがpass-protectionに参加するのを確認するや否や、それぞれのsideの#2 receiverに向けて体を完全に返している。
(このman-match likeなLBの動きこそが、私がQQHモドキと表現した理由である。)
Adamsを外内両方からcoverできている。
offensive-right-sideの#2も、safetyとLBで上下で挟みうまくcoverできている。
Reidのsafety blitzによって、QBはscrambleした。
結果、scrambleによってdownの更新を許してしまったが、このgimmickyなdisguiseは、ただただ美しく、見惚れるしかなかった。
わずか10秒間で、2-high → single-high → 2-highとめまぐるしく様相を変える変幻自在感と、LB2人ともを完全にpass fitさせる思い切りの良さ。
MahomesとKelceを中心とした、explosiveなoffenseばかりが取り沙汰されるが、defenseの貢献も大きいことを再確認されたい。
— まにまに (@dal_kc_manimani) 2023年1月14日