詰めフット

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よっしゃー・すっげー・えっっぐを卒業するためのNFL観戦法

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3rd-&-8でのbrilliant call!!! [QB DRAW X-GLANCE RPO]

要約

① defenseはCover-2 MANである。

② offenseのplaycallは「QB draw X-glance RPO」であり、3通りの選択肢を持つ。

③ tear-motionに対してDEがfollowしたため、man-coverageを確信するとともに、option 2のQB drawを選択。

④ DEがRBについていったことにより、Box内のplay-sideは4vs2の圧倒的数的優位に

⑤ 3rd-&-8 situationを危なげなく更新した。

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

2022, Wild Card, Buffalo vs Miami, 6:11 remaining in the 3rd quarter, 3rd-&-8

Billsは3x1 formationを敷いている。

対するDolphinsは2-high lookであり、

 

上図の様なCover-2 Man (2-MAN, Cover-5)を敷いていると考えられる。

 

※Cover-2 Man (Cover-5)とは...

deepを2人でzone-coverし、underneath defenderはそれぞれのeligible receiver(= RB含む)をman-to-manする。

 

ここで、3rd-&-8 situationにおけるBillsのplaycallは、上図のような

QB DRAW X-GLANCE RPO

である。

RBのmotionへのadjustを見て、

① RBのswing

② QBのdraw

③ X receiverのglance(skinny post)

の優先順位に従ってplayを選択する。

 

※RPO (Run Pass Option)とは...

defenseのcoverageや、defenderのalignmentによって、RunかPassかを判断するoption play。modern footballでは同じみのconceptである。

 

Dolphinsが2-MANで守っていることより、今回RPOのread-keyとなるのは、RBをman-to-manするDE Basham (No.55)である。

 

もし、Bashamが上図の緑矢印のように動いた場合(つまりBlitzかzone-offした場合)、先述のoption-progressionに従ってRBのswingに投げる。

 

なぜなら、BashamがRBのswingについてこなかったことより、上図のとおり、offensive-left-sideのperimeterは4vs3と数的優位になっているからである。

 

一方、RBのswingにBashamがついてきた場合、先述のoption-progressionに従いQB drawを選択する。

 

なぜなら、BashamがRB swingにfollowしたことにより、Box内のoffensive-right-sideが4vs2と圧倒的に数的優位となっているからである。

 

このreadをより容易にするため、Allenはsnap前にRBをtear-motionさせる。

 

tear-motionに対してBashamが followしたため、man-coverageであることを確認し、先述のoption-progressionに従ってoption 2のQB drawを選択。

 

snap後、Allenはtrips-sideに目線を移し、perimeter screenを相手defenseに想起させる。

 

以降、BashamとAllenの位置関係に注目されたい。

BashamはRBのswingをman-coverしており、Allenがkeepしたことにも気付いていない。

 

圧倒的に数的優位であるため、Allenは11-yardもgainすることができた。

 

ちなみに、この時のtight画角は上のようである。

4vs2で圧倒的に数的優位なのがお分かりいただけるだろう。

 

 

↓参考

theathletic.com

motionについていったのにman-coverじゃないの?Chargers HC Staleyによる鳥肌モノのdisguiseとは?

要約

① motionについていくdefenderがいるため、普通はman-coverageである

② この試合、今までsingle-highを81%の確率で使っており、今回も2-high→single-highへのdisguiseであると思われた。

③ Jaguarsの前々driveの3rd down、前driveの3rd downのplaycall tendencyからmeshなどのman beaterが予想される。

④ motionに対してあたかもman-coverageであるかのような見せ方をしておいて、実はzone-coverを敷いていた。

⑤ press setからman-to-manする動きとうしろにzone-offする動きのinitially departureが同じになる。

⑥ CBは、shallow crossが自分の担当であるflat-zoneに入ってくるのをただ待ち構えていれば良いだけに

⑦ inteception

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

Pre-snap look (motionへのadjustから)

2022, Wild-Card, Los Angeles at Jacksonville, 2:14 remaining in the 1st quarter, 3rd-&-5

Jaguarsは3x1 formataionを敷いている。

それに対し、Chargersは、ここから2-highにもsingle-highにもなれるlookである。

 

ここで、JaguarsはWR Kirk (No.13)をmotionさせる。

それに対し、CB Davis (No.43)がついていく。

 

このことは、Chargersがman-coverageを敷いていることをindicateしている。

 

motion後の両teamの隊形を確認し、次の画角に移る。

 

motion後、Jaguarsは2x2 formation、Chargersは2-high lookである。

 

・この試合で今まで、Chargers defenseは81%の確率でsingle-highを採用している

・motionに対してdefenderがついてきた

ことより、最も考えられるcoverageは上図のようなCover-1 Ratである。

 

さて、Jaguarsのcallは上図のようなMESH concept である。

※ meshとは...

man-coverage beater。

左右のreceiverを交差させることで、それぞれをman-coverするdefender同士をぶつけさせるconcept、いわゆるpick play。

 

 

前々driveの3rd-&-10 ... MESH

前driveの3rd-&-9 ... TB SCREEN w/ shallow cross

であったことより、今回もmeshであることは、Chargers HC Brandon Staleyは予想できたのだろう。

 

そのため、実際のChargersのcoverageは上図のようなCover-2であった。

 

組み合わせると、上図のようになり、zone-coverageに対してWR Engram (No.17)のshallow crossはopenになりそうにない。

空くとすれば、WR Z.Jones (No.7)のcorner-routeであろう。

 

Post-snapでのQBからの見え方

snaap直後、Lawrenceは左sideを見た。

2人のreceiversはman-coverされているようにも見える。

 

次に右sideを見た。

こちらも、2人のreceiversがman-coverされているように見える。

 

実際は上図のようなzone-coverであるのに、Lawrenceの目にはman-coverであるように見えたのは、

 

・pre-snapでのmotionに、defenderがついてきた

・目の前のreceiverに対してCBsがpress setしていたことにより、うしろにzone-offする動きとreceiverをman-coverする動きのinitially departureが同じ

 

man-coverageであると勘違いしたLawrenceは、再び目線を左に移し、Engramを見る。

 

すると、Engramがopenになっているように見えた。

man-coverageであると勘違いしているLawrenceは、Engramがopenになっている理由を、pick playが成功したとみなし、

 

何の疑いも抱かず、彼に投げた。

 

しかし、Chargers defenseのcovergeは、前述の通りCover-2である。

Engramの行く先には当然flat-zoneをcoverするCBが待ち構えているわけで、

 

interceptされてしまった。

 

 

わずか10秒の間に2-high→single-high→2-highと目まぐるしく変化させる妖艶なdisguiseにはただただ見惚れるしかなかった...

 

QBにとって、safetyが1人なのか2人なのかはとても重要な情報である。

2-high look = Cover-2, Cover-5 (Cover-2-MAN), Cover-6, Cover-7 (split-field-coverage), Cover-8, ...etc

 

single-high look = Cover-1, Cover-3, Cover-9, ...etc

 

先週行われたWeek 18のChiefs vs Raidersにおいて、

わずか10秒間で、2-high → single-high → 2-highと変化させる妖艶なdisguiseが見られたため、紹介する。

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

 

safetyのalignmentの変移

2022, Week 18, Kansas City at Las Vegas, 11:40 remaining in the 1st quarter, 2nd-&-6

pre-snapの初めのうちは、2-high lookである。

 

ここから上図のようにrotateし、

 

snap直前にはsingle-high lookになった。

ここまではよくみる光景である。

 

snapと同時。

今度は上図のように、CB McDuffie (No.21)が大きくdeepに下がり、

 

snap直後にはまたしても2-highとなった。

 

種明かし

Pre-snap (motion前)

Raidersは最初、3x1 formationであり、ace receiverである Devante Adams (No.17)がtrips sideの#3 にsetしている。

 

それに対し、Chiefsは前述の通り2-high lookであり、

 

大きいdisguiseで分かりづらいが、実はCover-8 (HQQ: Half-Quarter-Quarter)モドキを敷いている。

(モドキとあえて表現する理由は後述する。)

また、weak sideからsafety blitzを入れる。

 

※HQQとは...

pass-strong-side (今回は3 receiversがsetしているoffeinsive-right)に対し、deep 1/2をdefenderがcoverするCover-2、

pass-weak-sideに対しdeep 1/4ずつをcoverするCover-4をcallするもの。

一般に、trips sideにspecific receiverがいる場合、相性が良い。

 

 

正確には、上図のように、HQQ TRIXであり、disguise後back-side safetyになるS Sneed (No.38)が#3のAdamsのverticalをcoverする。

 

※ TRIXとは...

back-side safetyが#3 receiverのvertical routeをcoverするもの。

一般的なcoverageでは、#3 receiverをcoverするのはlinebackerであり、verticalを走られては、leverage的にもspeed的にもmis-matchである。

tripsの#3 receiverに俊足のTyreek Hillを置き、verticalを走らせるconceptを好んだ昨季までのChiefsに対して、よく見られた守り方であることは、以前の記事で紹介した通りである。

 

TRIXをcallしてあることより、trips sideは、4人vs3人で数的優位となっており、

また、AdamsをLBとSでdouble coverしているため、ace receiver対策がしっかりとなされていることがわかる。

 

Pre-snap (motion後)

ここでRaidersがAdamsをmotionさせる。

 

それに対し、Chiefs defenseは上図のようにrotateし、

 

上図のようなCover-6モドキ (QQH: Quarter-Quarter-Half)に変更した。

(LBはman-match likeなcover)

 

※QQHとは...

pass-strong-side (今回は3 receiversがsetしているoffeinsive-right)に対し、deep 1/4ずつをcoverするCover-4、

pass-weak-sideに対しdeep 1/2をdefenderがcoverするCover-2をcallするもの。

一般に、対3x1において、single-sideにace receiverがsetしている場合効果的。

 

このchiefs defenseによるadjustは決して脈絡のないものではないことは、defenderの誰1人として戸惑う様子がないことからも納得いただけるだろう。

 

実は、Chiefs defenseには、"ZEUS"というcallを実行していたのである。

 

※ ZEUSとは...

specific receiverのいるsideにHalfを、その逆sideにQuarterをcallするもの。

 

ZEUSをcallされていたchiefs defenseは、Adamsの移ったweak sideをHalf、その逆をQuarterで守れば良いことになる。

2nd-&-6というpass situationにおいて、 Devante Adamsへのpassを封じたいというChiefs DC Spagnuoloの意思が汲み取れる。

 

話を戻そう。

ここで、Raidersのplayは、上図のようである。

single-highのzone coverageには非常に有効なconceptに見える。

 

しかし、ChiefsのQQH (with LB man-match)に対しては、

・offensive-right-sideのvertical系のroute2本は、Quarterによってcover可能

・offensive-left-sideの#1のin-routeに対して、deep 1/2を守るsafetyがcover可能

Adamsに対しては、CBが外側から、LBが内側から挟み込むようにcover可能

の理由により、どのreceiverもopenにならない。

 

以降、各defenderの動きに注目されたい。

CB McDuffie (No.21)が大きく下がり、deep 1/4をcover。

S Reid (No.20)がblitzに入る。

LBの2人は、RBがpass-protectionに参加するのを確認するや否や、それぞれのsideの#2 receiverに向けて体を完全に返している。

(このman-match likeなLBの動きこそが、私がQQHモドキと表現した理由である。)

 

Adamsを外内両方からcoverできている。

offensive-right-sideの#2も、safetyとLBで上下で挟みうまくcoverできている。

Reidのsafety blitzによって、QBはscrambleした。

 

結果、scrambleによってdownの更新を許してしまったが、このgimmickyなdisguiseは、ただただ美しく、見惚れるしかなかった。

 

わずか10秒間で、2-high → single-high → 2-highとめまぐるしく様相を変える変幻自在感と、LB2人ともを完全にpass fitさせる思い切りの良さ。

 

MahomesとKelceを中心とした、explosiveなoffenseばかりが取り沙汰されるが、defenseの貢献も大きいことを再確認されたい。

 

 

攻めやすいようにdefenseに守らせる!? Dolphinsに倣う favorable match-upの作り方

 

football観戦初心者のうちは、big playやtouchdownを見ても

・QBの球が正確だった

・WRのキャッチがうまかった

・RBの足が速かった

など、field playerの身体能力に感動することしかできない。

 

少し慣れてきて、play callと言われる戦術が、offense, defenseそれぞれのcoordinatorによって悩み抜かれた上で選択されている事実を知ったとしても、結局はplayが始まるまでcallの優劣がわからないジャンケンのようなものであると思っている人がほとんどだろう。

 

そこで今回は、

offense側が攻めやすいようにdefenseのシステムを思いのままに操り、好ましいmatch-upを作り出す

というある種のメンタリズム的なfootballの一面を紹介する。

(本記事はTed Nguyenさんの記事に、私なりの解釈を加えたものである。)

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

 

Week 2 2022, Miami at Baltimore, 11:27 remaining in the 2nd quarter, 2nd-&-5

Dolphinsはempty formation (0 running back, 5 receivers)を敷いている。

 

RBのMostert(No.31)を右の#1としてsetさせている形であるが、

これに対しRavensは、CBではなくLBのQueen(No.6)がやってきて彼をcoverしようとする。

このことは、Ravens defenseがman based で守ろうとしていることを示唆しており、

 

上図のようなtrix man coverageを敷いていると考えられる。

 

※trixとは、back-side safetyが#3 receiverのcrossing routeをcoverすること。

 

※ #3にsetしたTyreek Hillに対してdouble coverを選択すること、その際back-side safetyがHillの得意とするcrossing routeをcoverすること、は以前の記事を参照されたい。

manimani-football.hatenablog.com

 

 

ここで、Hill (No.10)がmotionし、RBのようにsetする。

RBもeligible receiverであるから、Hillはoffensive-left-sideの#3 receiverとみなすことができる。

 

このmotionに対し、Ravensは上図のようにadjustした。

ここで注目されたいのは、safetyのWilliams (No.32)がbox内に降りてきた点、いや、降りざるをえないように仕組まれた点である。

 

・underneathのdefenderは、目の前のreceiverに対し基本的にpure man-to-manであるため、Hillをsafety以外のdefenderに受け渡すことは難しい

・そのため、motion前に彼をdouble coverする役割を持っていたWilliamsが見ざるを得ない

・HillはRBの位置にsetしているが、彼のinsideのrun playはそれほど脅威ではなく、その代わりタイミングの早いflatに出られると厄介であるため、彼との距離を詰める

 

 

Raves defenseのadjustをこのように誘導した理由は、

safetyのWilliamsは、inside linebackerのようにplayすることに慣れていない

ことがヒントである。

このことに注意しながら、続きを読み進められたい。

 

Ravens defenseは、motionへのadjustに少し困惑が見られたものの、上図のようなCover-1を敷くに落ち着いた。

 

ここで、Dolphinsのplay callはtunnel screenであり上図のようなassignmentである。

 

このように見てみると、tunnel screenを止めるためには、Williamsのplayingが鍵となるであろう。

 

そこで、以降、WIlliamsの動きに注目されたい。

 

Hillのrun fakeに大きく反応し、内側に寄ってしまっている。

 

perimeter screenに気づいて寄せるも、OLの2人に追い越されてしまう。

 

完全にblockされてしまっている。

 

そう、tunnel screenを成功させるにあたり、守備のキーマンとなるsecond-level defenderを不慣れな選手に"意図的に"守らせたのである。

 

最後にまとめると、

・RBを#1 receiverとしてsetさせることで相手のcovergeを予測する

・あらかじめHillをRBの位置にsetさせるのではなく、emptyからmotionさせることで、curl zoneに意図的にsafetyを持ってこさせる

・perimeterのscreenに対して、second levelからの対処に慣れていないsafetyを嫌らしく攻める

 

#1にsetしたRB MostertにLBがついて行った時点で、盤面はすでに詰んでいたということだ。

 

 

 

参考

theathletic.com

解説者「draw が来るでしょうね」 "まさか"の理由で的中し放送室は笑いに包まれた

Tony Romoが解説席に立ち、フィールド上のplayを的中させまくっていることは以前の記事で紹介した。

詳細は以下の記事を参照されたい。

manimani-football.hatenablog.com

 

これを受け、現在のNFLでは「いかに自分が一般人と比べて高い解像度を持って試合を観戦できているか」をアピールする解説が増えていると言われている。

 

そんな、詰めフット的には願ったり叶ったりな風潮が醸成されつつあった2021-2022 seasonの序盤に、意外な形でplayを的中させた解説者が話題となったため、遅ればせながら紹介する。

 

まずは動画からご覧に入れたい。

 

 

Week 3 2021, Dallas vs Philadelphia, 8:00 remaining in the 2nd quarter, 2nd-&-goal

pre-snap時点で、QBのPrescott(No.4)は辺りをよく観察している。

また、#3のSchultz(No.86)はLBのalignmentを指差し、Prescottに何やら伝えている。

 

LBのalignmentと single-high lookであることより、この時点で考えられるEaglesのcoverageはCover-3である。

 

ここでPrescottは、"WHITE EIGHTY SET HUT"とcadenceをする。

cadenceに合わせてEagles defenseは図のようにrotateしたため、

 

PrescottはCover-2であると判断。

 

audibleをかけた。

※audible...play callを変更し、隠語でチームメイトに伝えること

 

それを聞いた解説者のBrian Grieseは

"I think it might be a draw."

「drawが来るでしょうね」

と予想。

すると、実際にplayはdrawだった!

※draw...RBへのhand-offをワンテンポ遅らせ、LBをpass fitさせた後の遅いrun play。

 

これには実況も大笑い。

なぜGrieseはCowboysのaudible後のplayを的中できたのだろうか。

 

Prescottは、

"Bob Ross! Bob Ross!"

と言ってaudibleをかけた。

Bob Rossとはアメリカ出身の画家である。

 

そのためGrieseは、

"Bob Ross likes to paint. I think it might be a draw."

「Bob Rossは描くのが好きだ。だからdrawなんじゃないか」

と予想できたわけである。

 

今まで当ブログでは、football特有の高度な駆け引きを中心に取り扱ってきた。

今回はそれと比べると少しお茶目な要素を紹介できたのではないかと思う。

 

NFLを観戦される際は、ぜひ解説者の自己顕示的な解説にも耳を傾けられると、また違った楽しみ方ができるだろう。

窮地から活路を見いだせ! 研究され尽くしたchiefsを救うmotionの活用とは?

 

 

Mahomesの出現により2018 seasonから圧倒的な強さを誇ってきたchiefs。

しかし、2021 seasonはweek 5終了時点で2-3と負け越している。

 

なぜなら、昨シーズンのSuper BowlのBuccaneersによって、

2-high, no blitz, Hillをdouble cover

がchiefsのexplosiveなoffenseを食い止める最適解であることが示され、多くのteamがこのsystemを採用し始めたからである。

※このことはSuper Bowlの復習記事を参照されたい。

どのようにしてChiefsのexplosiveなOffenseをBucsが完封したのか【backs編①】 - 詰めフット

どのようにしてChiefsのexplosiveなOffenseをBucsが完封したのか【backs編②】 - 詰めフット

 

研究され尽くし、窮地に追いやられたchiefsに復活の希望を与える戦い方が見られた。

 

その戦い方とは、chiefs十八番のmotionを巧みに用い、man-match coverage(Cover-7)をbeatするものである。

 

以下に紹介する。

 

Week 6 2021, Kansas City at Washington, 0:38 remaining in the 2nd quarter, 2nd-&-15

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chiefsは例のごとく3x1 setsである。

 

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それに対し、washingtonはStumpを敷いている。

Stump: man-match coverageの一種。詳細は以前の記事を参照されたい。

 

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corner#1をMOD、starはFirst to flat、moneyはPost #3をplayする。

 

ここで言及しておきたいことは、money()

#3がunderneathへ走った → wallする

その他 → post

という役割を持っており、field sideをreadすることである。

※postとは、receiverを追いかけるのではなく、zone offすることである。

 

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#3がunderneathへ走った場合moneyはWALLする。

 

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#3がその他のrouteを走った場合、moneyはPOST (zone off)

 

ここで#3がmotionする。

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これに対し、

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washingtonはStumpの2x2 versionであるMODにcoverageを変更した。

※MODの詳細は以前の記事を参照されたい。

 

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この変更を受けて、secondary defendersの役割は上のように変わる。

 

ここで注意したいのは、moneyの担当がboundary sideの#3(つまりRB)になったことである。

motion前 → field sideをread

motion後 → boundary sideをread

 

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RB()はoffset(QBから遠目にsetしpass routeにでやすい)からswingを走った。

defenseは彼を"fast 3"とみなし、他のreceiversとの位置関係的に「実質#2」と考える。

 

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また、Kelce()がchip blockからHitchを走ることにより、彼は "final 3"となり、「実質 #3」と考える。

 

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そのため、MODを敷いているdefenseは "push" callをし、mac()がRBを、money()がKelce(中央)をcoverするよう変更しなくてはならない。

 

※ fast 3, final 3...詳しくは以前の記事を参照されたい。

Sabanが生んだCover-7① (vs 2x2) "Bracket" - 詰めフット

Sabanが生んだCover-7⑥ (vs 3x1) "Stump" - 詰めフット

 

snap前後の正しいassignmentをまとめると以下のようになる。

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しかしmotionによって自身のresponsibilityの適切なredefineができていないmoney()は、motion前のようにfield sideをreadし、

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上のようにsnap後field sideにzone offしてしまった。

 

そのため、Kelce()とmoney()の位置関係を見ると、

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Kelceはunderneathでかなりopenになっているのがわかる。

 

↓動画

 

 

以上、motionを利用したman-match coverageの攻略を紹介した。

 

昨シーズンまで圧倒的な力を誇ったteamがここまで勝てなくなるとは...

研究と対策次第で強さの均衡をいとも簡単に変えられるfootballならではの魅力を再認識させられている。

ここから、HC Andy ReidとOC Eric Biennemyがどのように戦術を組み立て直すのか、非常に楽しみだ。

double coverでガッチリ守られてもmotion使えば繋縛を解かれるよ! 変幻自在なChiefs Offenceによるイヤラシイmotionとは?

 

2020 seasonのDivisional roundで、HillとKelceをターゲットにしたexplosiveなChiefs offenseにボコボコにされたBrowns。(以前の記事参照)

その反省を生かし、彼ら2人をそれぞれdouble coverして対処しようとしたが、

その目論見は、Andy Reidによるイヤラシイmotionによって効力を失うのであった。

 

modern footballにおいて、非常に重要な役割を担う "motion"。

今回は、その意外な使われ方を紹介する。

 

↓まずは映像からご覧あれ

 

 

2021 Week 1, Kansas City vs Cleveland, 7:09 remaining in the 4th quarter, 3rd-&-3

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2点差を追いかける状況での3rd down situationである。

Chiefsはお馴染みの3x1 formationである。

一方、BrownsはStubbieを敷き、#3のKelceとweaksideのHillをdouble coverしている。

※ Stubbie...man-match coverageであるCover-7の一種。詳しくは以前の記事を参照されたい。

Sabanが生んだCover-7⑤ (vs 3x1) "Stubbie" - 詰めフット

 

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KelceとHillのexplosiveなplayersをdouble coverされてしまったのを受け、

QB MahomesはRBのClyde Edwards-Helaire(CEH)をmotionさせる。

 

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以降、Browns defense視点でこのmotionを捉えていく。

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CEH(右)がmotionに続いてswing routeを走ることにより、

defenseは彼を "fast 4"とみなし、trips sideの他のreciversとの位置関係的に「実質 #3」と考える。

 

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また、Kelce(中央)がHItchを走ることにより、彼は "final 4"となり、「実質 #4」と考える。

そのため、defenseは "push" callをし、$(左)がCEH(右)を、Mac()がKelce(中央)をcoverするよう変更する。

 

※ fast 4, final 4...詳しくは以前の記事を参照されたい。

Sabanが生んだCover-7① (vs 2x2) "Bracket" - 詰めフット

Sabanが生んだCover-7⑥ (vs 3x1) "Stump" - 詰めフット

 

motion前後のassignmentをまとめると以下のようになる。

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Mac(M)はrun守備を得意とする重くて遅いinside linebackerであり、

またmotionにより、自分のresponsibilityが把握しづらくなっている。

そのため、Kelce(Y)とMac(M)の間には

スピード的なmismatch

leverage的なmismatch

混乱によるmismatch

が生まれた。

 

実際に見てみると、

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上記三つのmismatchだけでなく、そもそもMac()のmotionに対するadjustが適切になされていないのがわかる。

Mahomesがpassを投げるその瞬間においても、Kelce()はかなりopenである。

 

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Kelceがcatchした瞬間。

かなり余裕を持ってcatchできたため、second effortによって、touchdownすることができた。

 

motion前にはdouble teamを組まれ、堅固にcoverされていたdangerous playerが、motionたった一つでその繋縛を解かれたのである。

 

↓ALL22映像