2019 seasonをもって現役を引退したLuke Kuechlyは、7年連続Pro Bowlに選出された偉大なLB。
"Luke Kuechly is everywhere on the field."
tackle machineと渾名された彼は、physical的な強さもさることながら、
"He knows everthing before it happens."
相手offenseのplayをクオリア的に予感でき、臨機応変にteam全体を対処させることに長けていた。
そんなKuechlyをKuechlyたらしめたのが、他でもない試合前の入念な準備である。
対戦相手のtapeを見まくって、situationやformationにおける相手offenseのplay-calling tendenciesを見抜く。
↓動画
— まにまに (@dal_kc_manimani) 2021年5月7日
そのため、pre-snap時点で相手のplayを的中させまくっている。
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— まにまに (@dal_kc_manimani) 2021年5月7日
今回は、そんなKuechlyのすごさが最もよくわかるシーンが紹介されていたため、共有する。
何かを感じ取ったKuechly
2013, week 16, 14:16 remaining in the 4th quarter, 3rd-&-8
Saintsは、backup tight-endのBen WatsonをFBの位置にsetさせ、
i-formationを敷いている。
situationは、6-10でSaintsが4点を追いかける4Qの序盤 3rd-&-8である。
snap前、何かに気がついたKuechly(○)は、teammateに何やら指示を出している。
指示を受けたnickle safety(○)はKuechlyと立ち位置を交換し、
snapと同時にblitzに入った。
nickle(○)のpressureを受けたQB Breesは、
左にいるTBにpassを投げた。
blitzにうまく対処したかのように見えたが、
TB(○)はballをcatchした瞬間、Kuechlyによってtackleを受けてしまい、
Saintsは重要な3rd downの局面において、5 yardsもlossしてしまった。
今、何が起こったのか
Saintsのplayは?
Saintsが負けている状況で、i-formationを使用することは決して多くはないという。
そのため、4Qのこの状況にSaintsがこの隊形を敷いてきたのを見て、
Kuechlyの頭の中には、数週間前に見た ”あるplay” が浮かんだのだろう。
2013, Week 9, 9:16 remaining in the 4th quarter, 1st-&-10
4Q, 1st-&-10というsituationで、Saintsはi-formationを敷いている。
以降、TB(○)とFB(○)の動きに注目されたい。
snap直後、linemenは後ろに下がりpass protectionの構えを見せており、
TB(○)もそのhelpをする動きである。
それに対し、FB(○)は勢いよく前に走り出しているのがわかる。
他のplayerが皆揃ってpassのフリをしている中、
FB(○)だけが間を置くことなくmike linebacker(#52)に向かって突き進んでいる。
このFB(○)に与えられた役割は、間を溜めてmisdirectionをするよりも、
できるだけ早くmike(#52)をpickし、TB(○)のためのspaceを空けることだったのである。
linemenがpass protectionをやめてdownfieldに漏れ出てきているため、
このplayはTB screenである。
FBがmikeをできるだけ早くpickしたことにより、mike(#52)はmake playできず、
また、outside linebacker(#37)とlinemenのmismatchも生み出すことができている。
結果、このTB screenは9-yardsも出した。
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— まにまに (@dal_kc_manimani) 2021年5月7日
TB Screenを予感し、それをdisruptするためにaudibleする
重要な局面でcallされ、blockerがsnap後すかさず自分目掛けてやってくるこのplayは、Kuechlyにとって非常に印象的であったのだろう。
2013, week 16, 14:16 remaining in the 4th quarter, 3rd-&-8
冒頭でも軽く触れたとおり、いまSaintsはi-formationを敷いている。
situationは4Q, 3rd-&-8である。
1. nickleをblitzさせる
先に紹介した2ヶ月前の試合のtapeの記憶から、
FBをlead blockerにしたTB Screenの匂いを感じ取ったKuechlyは、
nickle safetyのMikell(○)に指示を出し、
alignする位置を交換し、A-gapにblitzを入れさせた。
以降、lead blockerのFB(○)とnickle(○)の動きに注目されたい。
lead blockerであるFB(○)は、Week 9の時と同じくsnapと同時に勢いよくスタートをきり、linebackerをpickしようと試みる。
このTB Screenは本来、FB(○)がmikeをblockするassignmentであるが、
mikeであるKuechly(○)とnickle(○)が立ち位置を交換し、
さらにnickle(○)がblitzに入ったことにより、
FB(○)はnickle(○)をpickすることができなかった。
一般に、小柄なnickle safetyとTEが本職であるFBのmatchupは、明らかにnickleに分が悪いmismatchではあるのだが、
彼をblitzさせることにより、その問題点をうまく解決したのである。
また、blitzの効果はそれだけに留まらず、
QB Brees(#9)にpressureを与え、
その結果、Screenを完成させる上で最も重要なOLsのdownfield-blockingが不十分であるのにも関わらず、BreesはTB(#23)にballを投げざるを得なくなってしまった。
2. 自分はOLsの影に隠れ虎視淡々と獲物を狙う
この一連の流れを、今度はKueckly(○)に着目して再度ご覧いただく。
snap後のOLsとFBの動きから、予感通りTB Screenであると確信したKuechlyは、
しっかりと視野にQBとTBを収めつつ、
QBから見えにくいOLsの影に身を移し、獲物を虎視淡々と狙う。
そして、狙われていることを獲物に悟られないために、
QBがballを投げるまで、決してTBにpressureをかけることなく、辛抱強く待つ。
QBの手からballが離れ、完全に罠中に嵌ったのを確認するや否や、
虎は突如として茂みから姿を現し
獲物に喰らいついた。
結果Saintsのこのplayは5-yardsのlossに終わった。
4点追いかけられている4Qの3rd down という重要な局面において、
PanthersはKuechlyのbrilliant callによってdownの更新を免れ、その点差を守り切り勝利することができた。
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動画
— まにまに (@dal_kc_manimani) 2021年5月7日
試合前、起こりうるすべての可能性を洗いざらい考慮し、
試合中、defenseを意のままに操作する。
Kuechlyの詰めフットを今後も紹介する予定。
↓Kuechlyが特集されたYoutube
↓参考動画